第48話 男の子は母親好き、女の子は父親好き
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髪の色は黒い色をしているが長さは短髪で、目は銀時の様な死んだ魚の目をしておらず、鋭く尖った形をしている。そう確認できたのは右目だけで左目は包帯が巻かれていて確認出来なかった。服も違っており、白を基調とした銀時のそれとは違い紅め掛かった色合いの柄に蝶の絵が描かれた何所となく女性風な着物を着ていた。
簡単に言えば全くの別人であったのだ。
「何だ? 俺に何か用か?」
「あ、御免なさい。てっきりお父さんかと思っちゃって思わず―――」
気持ちが焦っていたのもあり禄に確認もしないで行ってしまっただけあり回りの視線が気になってしまい、なのはは自分が恥ずかしい事をした様な錯覚を覚えた。
その為に頬が赤く染まってしまい縮こまってしまった。
すると、例の男性がしゃがみこみ、目線をなのはに合わせてこちらを見入る。決して怒っている風には見えないがちょっぴり怖いと思えるような風貌をしていた。
「そんなに俺がお前の親父に似てたか?」
「えと……ちょっとだけ―――」
「そうか……」
それだけ聞くと、男は静かに肩を震わせて顔を俯かせた。聞こえてきたのは男の笑い声だった。回りを歩く人達は気に留めていない。嫌、止めようとしていないの間違いなのかも知れないが、この際放っておく。
とにかく、男が笑っているのを見て、なのはは安堵した。どうやら父と間違った事を怒っている訳ではなさそうだ。
「御免なさい、間違えちゃって」
「気にするな。それより俺に似てるってこたぁ、相当お前の親父も血生臭いんだろうな?」
男は立ち上がりそう呟いた。何故そうなるのか分からず、なのはは首を傾げてしまう。どうしてこの人と間違えただけで父が血生臭いと言う結論に行き着くのか全く理解出来なかった。
「どうして血生臭いって分かるんですか?」
「俺がそうだからだよ」
一言、簡潔に男はそう述べた。やはり分からない。ばれないように鼻をひくつかせては見たが、男からは別に血の臭いは感じ取れない。
ならば何故父の事を血生臭いと決め付けられたのだろうか?
「う〜ん、良く分からないんですけど」
「分からないんならそれで良いだろう。別に分かった所で得する訳でもねぇんだしな」
「そう言う物ですか?」
未だにしっくり行けずに更に首を傾げてしまう。その仕草が面白かったのか、男はまた肩を震わせて笑い出した。良く笑う人だ。
それがなのはがこの男を見てそう印象に思えた。
「面白いガキだな、お前は。他の奴等は俺を見たらまず声を掛けない筈なのによ」
「そうなの? 別に叔父さん怖そうに見えないけど」
「そうかい? そりゃお前さんが世間を知らないだけだろうよ」
何となく小馬鹿にされてる様な気がしないでもない。しかし他人に怒りをぶつけるのは世間知らずのする事。なのはも一応は常識を弁えている年頃
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