第二十八話
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思うわ。いつかは分からないけど中学生から高校生にかけて確実にこちら側に巻き込まれるわ。その時に自分の身を守れる位の力は欲しいでしょ」
「巻き込まれるって本当ですか」
「ほぼ間違いないわね。拒否はたぶん出来ない。MMは自分たちの繁栄の為なら他人がどうなろうと構わないと思っているから。厳に木乃香は数ヶ月前に傭兵に攫われそうにもなったわ」
「その攫おうとした人たちはどうなったんですか」
「一人を残してみんなリーネ達が......殺したわ」
「ころ......」
「木乃香以外は攫う必要がないからって殺そうとして、みんな必死になって抵抗して刹那と木乃香は酷い怪我を負っていたわ。リーネも服はぼろぼろだったから何回も魔法を受けたりもした。それから一年近く、この別荘で身体と心の治療を行なったわ。正直言うと今すぐにでも麻帆良を滅ぼしたいと思った事も在ったけど、三人がそれを望まなかったから、とりあえずは保留という形になっているわ」
「......なんでみんな笑ってられるんですか」
「それはあの子達に直接聞いてみて頂戴」
「エヴァさんも人を殺した事が」
「あるわよ。これでも長い間生きているからかなりの人数を殺してきたわ。自分を守る為に。最初に殺したのは私を真祖の吸血鬼にして、私の家族を皆殺しにした男」
「......ありがとうございます。それから嫌な事を思い出させてすみません」
「別に構わないわよ。今は真祖の吸血鬼である事を嬉しく思っているから。そのおかげで私は夫に出会えたし、夫を残して逝く事も無いから」
「仲がいいんですね」
「ええ。それとあの子達の場所までの道が分からないでしょ。だからこの子に連れて行ってもらって」
エヴァさんがまた指を鳴らすと部屋に置いてあった人形の一体が動き出した。
私はそれに連れられてリーネ達の場所まで歩いていった。
「あっ、千雨ちゃんどうだった」
私に気付いたリーネが一瞬で目の前に来た。瞬動という高速移動みたいな物らしい。
私はリーネにエヴァさんとの話を簡単に話した。
「私たちの事も知っちゃったんだね」
「本当の事なのか」
そう聞くとリーネは口を開いて鋭く尖った犬歯を見せた後にどこから取り出したのかナイフで自分の腕に思い切り刺して抜いた。血が流れるけど傷口はすぐに塞がった。
「やっぱり本当なのか」
私はため息を一つついて頭を抱える。
「やっぱり怖い?普通の人間じゃなくて人殺しの私たちが」
「......今日一日見る限りじゃそんなの分からねえよ。だからまじめに答えてくれ。なんで人を殺したのに笑ってられるんだ」
その感覚が私には理解できなかった。私だったら
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