第七話
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「ならいいわ。一度帰りましょう。死神さん、悪いけど永遠亭まで飛ばしてくれるかしら?」
「ああ」
小町は言われたとおり、俊司達を永遠亭まで飛ばそうとする。
「……ちょっと待って」
だが、何を思ったのか俊司はそういって引き止めた。
「どうかした?」
「いや……紫、妖夢……どうしてる?」
「妖夢? あの子なら心配要らないわ。ちゃんと立ち直ってるわよ……あなたの手紙を読んでね」
紫がそう言った瞬間、俊司は思わず安堵のため息をもらしていた。
俊司は亡霊になってからずっと紫達のことを気にかけていたが、とくに妖夢のことを一番気にかけていた。自分が死んだら、妖夢がどういった状態に陥るかなんて目に見えていたからだ。
一番不安に思っていたのは、かばんに入れてあった手紙に気づいてくれたかどうかだった。自分の思いが伝わったのかどうかよりも、それをみて彼女が立ち直ってくれてるかが気になっていた。
「そっか……」
「まったく、あなたが死んで一番やつれていたのはあの子なのよ? 毎日毎日まるで屍のようにすごしてたんだから」
「……だよな。でも、元気にしてるならそれで安心だよ」
そう言うと、俊司はなぜかフードをかぶった。
「……なにやってるの?」
「いや、こうやって出てやろうと思って」
「あなたねぇ……」
「本音を言うと、ぱっと出る勇気がないんだ。あれだけのことがあって、あいつの前にのこのこ出る勇気がさ……」
そう言って俊司は苦笑いを返した。
「……まあいいわ。あの子はどんな反応するかしらね」
「この時間帯、妖夢はどこにいる?」
「あなた達が特訓してたとこにいるわ。今日は一人で練習中かしらね」
「わかった。小町さん、俺だけ永遠亭の西側に飛ばしてくれませんか?」
「了解。じゃあ飛ばすよ」
全員はそのまま永遠亭へと飛ばされていった。
「……なかなか面白かったよ。里中俊司君」
近くの木の陰にいた男に見送られながら。
同時刻、永遠亭付近の竹林
風が吹くたびに竹の葉がぶつかり合い、サワサワとした心地よい音があたりを包む。そんな中で、刀を握った白髪の少女が、風を切る音を作り出しながらひたすら刀を振るっていた。
(次はアンドロイド三体……囲まれた状態で)
少女は軽く目を閉じると、二・三歩後ろに下がって軽く息を吐く。その直後、目を開くと同時に前に飛び出し刀を振り下ろした。軽くあたりを見渡し、想像している敵を思い浮かべると、スピードを落とさない様にして地面をけり、刀を振りながら宙を舞った。
それから三分ほど刀を振り続けた後、
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