第9話 みんなは一人のために
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「――出ない」
「お兄さん?」
ヘキサは沈痛に肯いた。
「兄さんに何かあったらどうしよう……」
咲はすっくと立ち上がった。
「行こう」
「え。咲、行くってまさか」
「お兄さん。今のラジオでチーム鎧武の人だってわかったから。ナッツ、鎧武のキョテンって、西のステージの近くだったわよね」
「ん。ウラとってないけど」
ナッツはトモのタブレットを借りて、画面を近辺の地図に切り替え、指である一帯を丸く囲った。
「ねらージョーホーによるとこの辺の空きガレージ」
「よし。みんな、いい?」
チームメイトの誰も、チーム鎧武を尋ねることに反対意見を言わなかった。
「じゃ、このキカイに、あたしたちもチーム鎧武とナカヨシになりに行きましょ」
皆がどやどやとランドセルを持ち準備する中、ヘキサが咲のトレーナーの裾を指先で摘まんだ。
「――ごめんなさい。またメーワク、かけて」
咲は苦笑してヘキサの手を取った。
「いいよ。トモダチのことだもん。チームワークは助け合い。だからヘキサも、あたしたちのだれかが大変だったら助けてね」
「うん! ぜったいぜったい助けるからっ」
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