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《SWORD ART ONLINE》ファントムバレット〜《殺し屋ピエロ》
女神と道化師の舞踏会
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同時に、目を向けていた廃墟から複数の影が弾丸のように飛び出す。破れかぶれの突撃、とは見ていなかった。でなければあんな統率された動きが出来るはずがない。流石に対人専門を自称するだけのことはある。
左右2つずつに別れ、味方を牽制しながらこちらを狙う敵の意図を感じ取ったメイソンは、ぱぱっと複数の《着弾予測線》が体に表示されたの機に鉄骨から飛び降りた。その足が大地に触れるが速いか、体を限界まで低くし地面を這うように疾駆する。
AGI特化型のメイソンは速さにおいて優れているが、防御力と筋力は他のプレイヤーに大きく劣っていた。アップデートに伴いこのスタイルが時代遅れと認識されるようになった原因もそこにある。
だから防御という概念を捨てた。
被弾率を極限まで抑え、持ち前のスピードで敵を翻弄する。稲妻のようにジグザクの軌道を描いて戦場を駆るのはそのためだ。
刹那。すれ違いに様に左右2人の敵を射角に収めたメイソンは、彼らを抱擁するようにバッと両腕を広げた。
2つの銃口が同時に唸り、それぞれの標的に火線が殺到する。狙い通り彼らはズタズタに引き裂かれ、ポリゴン片となり砕け散ったのだが、メイソンにそれを確認する余裕はなかった。
引き金を引く一瞬の隙。そこをついたとしか思えないタイミングで《着弾予測線》が眉間に凝縮されたのだ。
導かれるように視線がある一点へと吸い込まれる。長大な銃身に、規格外の銃口。それを伏射姿勢で構える狙撃手の姿。
ーーいつの間に!?
エリア一帯に轟いた咆哮は《ウージープロ》の比ではなった。ぶわんと空気が膨張したかと思うと、光の槍、としか形容しようがない莫大なエネルギーが一直線に向かってくる。
それは自分の顔面から数センチの場所を通り過ぎ、黄昏色の髪の先端を焼き焦がしていった。激しい衝撃波に体がよろめく。
外れた?
肋骨を叩く心臓の音を聞き、久しぶりに冷や汗を流したメイソンは狙撃手の少女と目を合わせる。スコープ越しに見たその瞳は未だ冷めぬ闘志を赤々と燃やしていた。
しかし、ボルトアクションのスナイパーライフルとサブマシンガンでは連射力が違いすぎる。この奇襲が失敗した時点で勝負は見えていた。
「残念。もうちょっとだったなぁ」
思ったほどの興奮はない。いつも通りの感覚に嘆息しつつメイソンは内心を口にした。そして引き金に添えられた指に力が掛かける。
ーー突然、銃弾がアバターに食い込む不快感が全身に駆けめぐった。視界の左上に表示されたHPバーが2割削られたのを確認し、メイソンは食いしばった歯の間からうなり声を漏らす。
どうやら残っていた敵が彼女を援護したらしい。今度こそ引き金を最後まで押し込むが、狙撃手は僅かな隙をついてこれを躱した。
「ちっ、雑魚の分際
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