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《SWORD ART ONLINE》ファントムバレット〜《殺し屋ピエロ》
女神と道化師の舞踏会
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激しい攻撃をくぐり抜けて廃墟に滑り込んだシノンは、仲間たちの驚きともつかない微妙な視線に出迎えられた。きっとわざわざ死地に首を突っ込む物好きへの疑念なのだろうが、こればっかりは彼らに説明しても理解できないだろう。ーーしてもらうつもりもない。

すぐ隣でアサルトライフルを構えるダインと目が合った。彼は感謝の意を示すでもなく、すぐに俯いて肩を震わせる。それはリーダしての責任感の表れか、ただ単純に恐怖からくるものか。彼の性格からして後者であることは何と無く察しがついた。

「畜生、あいつら用心棒を雇ってやがった。しかもよりよって《殺し屋ピエロ》ときてる」

「......殺し屋?」

「知らないのか? あの赤いサブマシン使いだ。頭のネジが吹き飛んだジャンキー野郎が、根性のないパーティーに雇われて護衛の真似事をしてるのさ」

そう、貴方よりはよほど尊敬できるスタイルだ。

口からでかかった皮肉をすんでのところで抑え、シノンは残った仲間に目を走らせる。アサルトライフル2、サブマシンガン1......そして自分の所持するスナイパーライフルが1。いくら偉そうなことを言っても、この距離で《へカートU》を使用するには彼らの援護が不可欠だ。ほんの10秒、いや3秒でも隙ができれば......

アイツを倒せる。

「このまま待っても結果は見えてる。一か罰か打って出ましょう。あれだけ派手に立ち回ったんだから《ピエロ》はそろそろ残弾が怪しいはず。まだ仕掛けてこないのがいい証拠だわ。全員で攻撃すればさっきみたいな反撃は躊躇うかも......」

しかし、シノンが提案した必死の打開策は、ヒステリックな叫び声に遮られることとなった。

「無理だ! 奴だけじゃない、後ろにはまだ4人もプレイヤーが控えてるんだぞ!?」

発生源は言うまでもなくダインである。シノンはそちらに冷静な目を向けながらも内心ではホゾを噛んだ。やはりこの男はリーダに向いていない。いや、スコードロンを束ねる能力以前に、自分が認めるところの強者では絶対にあり得ないのだ。

「じゃあどうするの? まさか全員で白旗でも降るつもり?」

自然と棘のある言葉が出てくる。ぐっと答えに詰まって顔を背けた彼は、シノンの予想よりも斜め上の発言をした。

「悔しいが、もう諦めよう。このまま奴らに勝ち誇られるぐらいなら、いっそログアウトしてやった方がいい」

呆気に取られる、とはまさにこの事だ。

戦闘中、もしくはオープンマップでのログアウト。それは確かに可能だが、逃げる手段として乱用されがちなためちょっとした制限が設けられている。プレイヤーの意識がゲームからの離脱に成功しても、アバター.......つまり肉体は60秒間そのエリアに止まり続けるのだ。無論
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