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万華鏡
第五十一話 文化祭開幕その十一

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「今はね」
「かき氷自体がないから」
「それはね」
「アイスならあるわよ」
 彩夏は五人全員に言った。
「そっちはね」
「ああ、コンビニに行けば」
「そこにね」
「アイスはコンビニの商品の定番の一つだからね」
 彩夏はかき氷派だがそれでもあえて言った。
「現実としてはね」
「夏だからね、かき氷は」
「だから」
「氷はあってもな」
「食べるまではね」
「何言ってるんや、かき氷なんて何時でも食べられるわ」
「秋でも冬でもじゃ」
 取っ組み合いに入っていた高見先輩と宇野先輩はここで五人で顔を向けて言ってきた。喧嘩は休戦になった。
「出来るで」
「ちゃんと食べられるわ」
「えっ、っていいますと」
「どういうことですか?」
「ほら、これや」
「これあれば出来るじゃろ」
 二人でかき氷を作るかき氷器を出して来た、それでだった。
 五人にだ、こう言うのっだった。
「ほな食べよか」
「今からのう」
「何か急に出てきましたね」
「それも都合よく」
 五人はそのかき氷器を見ていささか呆れた様に言った。
「グッドタイミングですけれど」
「それでも」
「うちの学校何でもあるからね」
 部長もそのかき氷器を見つつ言う、今も酒が入っているコップは右手にある。
「だからこういったのもね」
「あるんですか」
「それも普通に出て来るんですか」
「そうよ、この通りね」
 普通にあるというのだ。
「こうしてね」
「うちの部室にあったのですか?」
 里香が部長にこう尋ねた。
「これって」
「みたいね、そういえば一回ちらって見たことあったな」
「昔の先輩達が買ったんでしょうか」
「そうじゃないの?夏暑いじゃない」
 この暑さからだというのだ。
「暑いと食べたくなるでしょ」
「かき氷をですね」
「そう、氷さえあったら出来るじゃない」
「あとシロップがあれば」
 シロップは売っている、かき氷は本当に氷さえあれば実に簡単に出来るのだ。八条学園の中でも暑くなるとかき氷屋さんの屋台が入る。尚この店のおじさんは寒くなると焼き芋を売っている。
「出来ますね」
「だからね」
 それでだというのだ。
「前の先輩のどなたかが買ってね」
「それが置かれてるんですか」
「ちょっと季節外れだけれどいいわね」
 部長は高見先輩と宇野先輩が持っているかき氷器を見つつこうも言った。
「それじゃあ今からね」
「かき氷食べるんですか」
「氷なら幾らでもあるわよ」
 肝心のそれはというのだ。
「うちの部室の冷蔵庫にね」
「あそこにですか」
「シロップはコンビニにあるから」
 もう一つの要素も揃っているというのだ。
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