第八十九話
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第八十九話 木琴は
亜美は木琴を見た、それで自分の使い魔達に明るい顔でこう言った。
「ええのあるやん」
「あっ、ご主人まさか」
「木琴が」
「大好きやで」
こう笑顔で答える程だった、それもすぐに。
「あの音が好きやねん」
「そうだったのですか、木琴がお好きだったのですか」
「あの音が」
「そやねん。ちょっと使ってみるで」
見てすぐだった、早速。
木琴の前に来て鳴らす、その音を聞いてこう言った。
「この音がええんや」
「そうですね、しかし」
「木琴は」
セレネーもアルテミスも木琴の音自体はいいとした、亜美の木琴の演奏にしてもかなり上手だ。しかしだった。
「あまりここでは」
「いいとは」
「バンド向きやないねんな」
「はい、そう思いますので」
「残念ですが」
どうかと言ってだ、そしてなのだった。
二匹はあらためてだ、己の主に言った。
「ここはです」
「他の楽器にしましょう」
「そやな、木琴はな」
自分でも思うのだった、確かに亜美は木琴は好きだ。しかしクラウンはバンドである。バンドに木琴はというと。
「場違いやな」
「そうです、ですから」
「他の楽器にしましょう」32
「そやな」
亜美は自分の使い魔達の言葉に頷いた、そしてだった。
木琴を丁寧になおしてだ、こう言った。
「ほなこれはな」
「他の楽器を探しましょう」
「そうしましょう」
「わかったわ。他の楽器やな」
「それが宜しいかと」
「バンドに合う楽器が」
アルテミスは具体的な楽器の傾向もアドバイスした。
「とりあえず何にするかですね」
「考えていきましょう」
「何かわからん様になってきたかもな」
亜美は少し不安な顔も見せた。
「ちょっとな」
「そう弱気になられずに」
「一緒に考えていきましょう」
使い魔達は主を励ましもした、あれこれと考える時間は続くのだった。
第八十九話 完
2013・12・12
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