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魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
聖地より蘇る翼
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ルフェゴールは笑みを浮かべて言葉を紡いでいく。

「それではダメ。私は大罪(ペッカートゥム)に戻るのはごめんだから。それに、それではいつまで経っても番外位のまま。私は正式な数字を持ちたい。そう、今を空席としている座に着く為に“力”がほしい」

今度こそアスモデウスの表情が驚愕へと変わる。ベルフェゴールの目的は己の存在の昇華。その上での正式数を持ち、他の“絶対殲滅対象アポリュオン”と対等になる。

「・・・それは無理な話よ。大罪(わたしたち)の“力”を集めたくらいで正式数にはなれない。それだけでは圧倒的に概念が足りていない。あなたの考えは初めから破綻しているわ」

アスモデウスは静かに告げた。先程までの怒りや呆れ、驚愕の表情はどこにもない。あるのはただ憐憫の眼差しだけだ。
 
「確かにペッカートゥムの“力”だけなら足りないのは明確。けど、この世界には大罪(わたしたち)以上の“力”と概念を持つ存在がいる」

「っ!! まさか界律の守護神(あれら)を取り込もうというの、ベルフェゴール!?」

アスモデウスはあまりの話に声を荒げる。ベルフェゴールはクスリと笑い、その銀眼の視線を向ける。

「霊格が落ち、人間へと成り下がっていても界律の守護神(テスタメント)には変わりない。ならあの二柱を取り込んでしまえば、さらに一歩、私は正式数に近付ける」

「・・・そう。でも私はお前に取り込まれるつもりはない。たかが怠惰と傲慢如きが。この色欲たる私と、私の内にある強欲に勝てるとでも思って?」

ベルフェゴールに対しての二人称が、あなた、から、お前、へと変化してしまった。それはアスモデウスにとって、ベルフェゴールはすでにこの場で抹殺するべき己の敵としたからだ。

「二番目と三番目のあなた。そして私は五番目と六番目、そして――」

ベルフェゴールはゆっくりと左手の人差し指をアスモデウスに向ける。

「――憤怒(よんばんめ)

「っ!!?」

人差し指から放たれる黄緑色の無数のレーザー。アスモデウスの表情は、この日何度目かの驚愕に染まる。彼女の思考にあるのは、何故? この1つだけとなってしまっていた。

「くっ! 何故お前が許されざる憤怒(カレ)の“力”を持っている!?」

今代の中で最も接近戦に強いアスモデウスは、そう叫びならもレーザー群を裂いていく。

「四番に敗れてもなお存在していたサタンを、“俺”が吸収したからだ」

「ルシファー!?」

アスモデウスの混乱は頂点に達していた。何故ベルフェゴールに敗れた許されざる傲慢たるルシファーが居るのか。その一瞬の混乱によって生み出された隙が、勝敗を決してしまっていた。

「――ぅぐぁ!?」

アスモデウスを貫く四本の剣――悪ふざけの意を冠
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