六幕 張子のトリコロジー
5幕
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「――何してるの、あなたたち?」
深皿と木の匙、調味料らしき物をいくつか持って出てきたミラが、胡乱げに寄り添うフェイとエルを見た。
「キズナのカクニンっ。ねー」
「……ねー」
「ふうん。仲が良くてよかったわね」
ミラは囲炉裏に火を入れると、火の上にぶら下げた鍋を木杓で数度掻き混ぜた。それから木杓に付いたスープを指で掬って舐め、持ってきた調味料と葉っぱをいくらか足してまた混ぜる。
調理の過程はフェイには珍しいものなので、つい見入った。
「ん、こんなものかしら」
ミラが木杓で、2枚の深皿にスープをよそって、フェイとエルの前に、木の匙と共に置いた。
「さ、どうぞ」
「いただきまーすっ」
「イタダキマス」
色褪せた木の実や葉っぱの浮いたスープ。見た目は悪いが味は――
フェイは木の匙でスープを掬って口にした。
「おいし……」
「おいしー!!」
フェイの声をより大きなエルの歓声が掻き消した。
「このスープ、チョーおいしいよ! ミラ、料理上手っ」
フェイは、こくこくと肯いた。ミラのスープは父の料理と違って、オイシイという味がした。
「そんなふうに言ってもらえたの、初めてだわ」
「ココの人たち、ホメてくれないの? こんなにおいしいのに」
「村の衆は私が料理するのを嫌がってるのよ。大精霊マクスウェル様には料理なんて俗なことしてほしくありません、って。神聖なイメージが壊れるんですって。迷惑な話。私だって今は人間なのに」
「精霊が人間になったの?」
「言ったでしょ。『元』マクスウェルだって。今の私は、黒匣とそれにまつわる者をちまちま消すのがせいぜいの、そこら辺にいる女と同じなの」
「びっくり――」
人間をあんなにも忌み嫌っている大精霊が自ら望んで人間になるなど。フェイの常識にはなかった。
「それだけで足りる? 保存食でよかったら、主食になる粉モノとかもあるけど」
「それもミラが作ったの? じゃー食べたい!」
「いいわよ。待ってて。出してくる」
ミラは微笑んで立ち上がり、再び奥へ引っ込んだ。
エルはご機嫌で、フェイは無言でスープを食べ進めた。
(やっぱり味、する。今まで食べたのでこんなことなかったのに。何で?)
「エルっ、フェイっ」
顔を上げる。ルドガーとユリウスが家の中に入ってきたところだった。玄関ドアからジュードたちも中を覗いている。何故かジュードたちは物珍しげだった。
「遅いよー」
「『遅いよー』じゃない! 二人とも勝手に動き回るな。……心配したんだぞ」
「ごめんなさい……」
「ゴメンナサイ」
ルドガーは苦笑し、両手でエルと
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