第二十二話
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の装填が出来ないので走り続け、時に剣で防ぎ、時には飛び乗ったりしながら目的地に向かう。
「昔のお主ならともかく今のお主なら妾がやらなければならない事位分かっておるだろう」
「分かってるさ。だからこうやって助けてんだろうが」
「どこがじゃ」
「レイトに教えてもらったんだけどな。ケルベラス渓谷の刑ってのはさ、飛び降りるまでなんだってよ。つまり既に刑は執行されたんだから自由なんだよ」
「そんな物、屁理屈じゃ」
「屁理屈だろうと、あぶね」
アリカに気を取られて魔獣の爪が服にかすりカートリッジのケースが二つとも落ちてしまう。
これで完全に装填が出来なくなってしまった。
「あちゃあ、ちょっとヤベエな」
まあ、全滅させる必要は無いので今更必要ないか。......もったいないけど。
「ここでは魔法も気も使えないのに今のお主では」
「確かにいつもよりはキツいけど、気付いてねえのか」
「えっ?」
「そこらに転がってる死体に気付いてねえのか。今のオレは魔力や気に頼らなくたって」
証拠として見せつける為に一番小柄な魔獣を一刀両断する。
「十分強え」
そしてまた走り出す。
もう目的の死体は見える距離まで来ているので全力で走る。
そして死体から飛び上がりカートリッジを全て炸裂させる。
「杖よ」
呪文を唱えもう一つの相棒である杖を呼び出し剣を背中に背負い、杖に乗りアリカを俗にいうお姫様抱っこする。出てきた所を攻撃されるかもと思ってもみたが魔法も気も使える以上レイトとエヴァンジェリン以外に負ける気はしねえ。だが予想に反して元老院のジジイどもが乗っている船は大混乱を様していた。今なら襲われる心配も無いな。
「オレはさ、この2年間色々と世界を見て回ったよ」
「ナギ......?」
「オレ達がやってきた事は一体なんだったのか。それが知りたくて世界中を回ってみた」
「いきなりどうしたのじゃ」
「住んでいた場所を焼かれ、親も死に飢えて死にかけている子供を助けた。傭兵崩れが襲い壊滅した村を見た。奴隷として働かされて死んでいく人も見た。オレたちに恨みがある男が自分の命すら捧げて喚んだ悪魔と戦いもした。そして、その悪魔との戦いに巻き込まれて殺してしまった人もいた。それでも眼に付く範囲で人を助け続けてきた。いつしか周りはオレの事を“偉大なる魔法使い”と呼ぶ様になっていた。だけどオレは英雄と呼ばれる事が苦痛になっていた。初めてレイトにあった時あいつは言った。
『攻撃魔法でどれだけの人が救える』と。全く持ってその通りだったよ。オレが2年の間で一番使った魔法は間違いなく回復魔法だったよ。そしてオレが大戦中に一番使った魔法は千
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