第二章 五話 アークネージ星
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「う〜い......ヒック!......う〜い......」
なるほど確かにギリアスたちは世紀末の様相を呈している。今にも潰れそうである。
「艦長〜俺たち金無いっすよ〜」
「バカやろ〜ここの払いくらいはのこってらぁ」
半ば酔いつぶれながらの会話である。聞いているこっちが痛々しくなってくる。
そんなギリアスを見ながら、白野は今度はウイスキーのボトルを注文する。
「お客さん、どうも相当腕の立つお人とお見受けしましたが......」
バー・カウンターにウイスキーのグラスを置きながらマスターが話しかけてくる。白野は黙ってグラスを傾けた。
「どうです?一攫千金、狙ってみませんか?」
そういいながら、一枚のポスターをカウンターの下から取り出してカウンターに広げた。
そこには、アークネージ星を背景に幾つもの宇宙船が飛び交う図があり、その他にはこう書き記されていた。
【スペースシップレース ネージリンス杯!名を上げろ!0Gドッグ達よ!】
さらに読み進めるとこうも書いてあった。
【優勝者には賞金35000G!栄光と富を掴め!飛び入り参加もOK!貴方の活躍をみんなが待っている!】
なるほど、なかなかに興味深い内容である。
ユニコーンは大マゼランの巨大戦艦。戦闘能力でいえば小マゼランの艦など小枝のごとく消し飛ばせる。
しかも、速力となればそれは他の戦艦の群を抜いていると言っていい。
ユニコーンは白野の好みと適性にあわせて速力、機動力に研究による設計図の改造値をガン振りしている高速機動戦艦である。
凄まじい加速、そして機動力をもってして回避機動の最中に通常砲撃を受けても全て避けたという伝説を打ち立てたりもした。
ようするに、船足はユニコーンの大きなウリなのだ。
「......マスター、これについて詳しく聞きたいのだが。」
そう言ったのは白野ではなかった。
目の下にクマを作って世紀末になっているギリアスである。
「はい。では、こちらへ......」
ギリアスがマスターと連れだって店の奥に歩いて行く。みると、先ほどまでは意識していなかったからか目に入らなかったが、確かに【エントリー受付】と書かれた電光掲示板が酒場の奥に設置してある。
ギリアスはそこに設置してあった端末の前でマスターから何事か説明を受けている。
白野はグラスを傾けながらそれを見ていた。
しばらくして、ギリアスが端末に自身のフェノメナログ(航海記録)を読み込ませた。どうやら、参加者の名声値を測っているようだ。それによってどんな状況が生まれるかは知らないが。
「艦長、あんたもアレに出るのか?」
ゲイケットがそんなギリアスを遠目に見ながら尋ねる。
白野はまたグラスを傾け、思案顔でしばら
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