第二章 五話 アークネージ星
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が渦巻き二人の間に収束して行く様子が確認できただろう。
そして、渦巻く熱気がついに二人の中心にたどり着いた時、結論が出た。
「.....3300。」
「交渉成立だな。」
かくて商人は敗れ、白野は辛くも勝利した。
資源の譲渡契約書にサインし、七三分けの商人は3300Gの表示があるクレジッタカードを差し出す。
白野はそれをうけとると、艦内内線でゲイケットに連絡して倉庫から資源を搬出する用意を整えさせる。
かくして、白野のアークネージにおける最初の商業交渉は見事に成功した。
*
アークネージ 宇宙船ドック
若き0Gドッグのギリアスは宇宙船ドックの床に両手をついてうずくまっていた。
常に前向きな彼らしくない陰気な動作である。
しかし、彼の現状からすれば仕方ないと言うべきなのかもしれない。彼は、毟られたのだ。徹底的に。マネーを。
白野から分配された資源を売っぱらって愛艦【バウンゼィ】のさらなる強化改造を目論んでいたギリアスだったが、したたかなネージリンス商人に値切って値切って値切られまくった。
ギリアスも白野と同じくすべての資源を一気に処分せずに10tずつに分けて売却をしたのだが、なんと1500Gまで値切られてしまった。
ギリアスは確かに戦闘技術は一級品になる可能性があるが、交渉技術に関してはその限りではなかったらしい。
ギリアスはむくりと立ち上がるとそのまま暗いオーラを纏いながら軌道エレベーターに向かって歩いて行った。
*
アークネージ 酒場
酒場に闇が満ちていた。
比喩ではない。
ギリアスから放たれる落ち込んだオーラが酒場全体を包み込んでいた。
それを遠巻きに眺める白野をはじめとしたユニコーンのクルー達。
「あ〜......ギリアスの奴、やられたか」
切ない感じでビールのジョッキを傾ける白野。どうやら予想通りになってしまったようである。
「私がついてやってれば良かったですかね......」
ソロヴァンを弾きながら呟くバウト。
「若者に幸あれ。」
「同感。」
「同じく」
ギリアスに哀悼の意を示してグラスを打ち鳴らすゲイケットとエーヴァ、バークの三人。
「......」
無言でパイプをふかすルートン。
まあ、彼らの反応はこんなところである。
「そうだ、ちょうど良かった。艦長にこれを。」
バー・カウンターの上にエーヴァが何やら薬のアンプルのようなものを置く。
「これは?」
「酔い止めだ。あの少年に。」
白野が視線をアンプルから外してギリアスの方をみると、彼はバウンゼィの一般クルー達と浴びるようにビールを飲みまくっていた。
「酒が足らねぇぞぉ!」
「そうらそうらぁ!」
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