第二章 五話 アークネージ星
[7/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ました......では。」
白野の返答は簡潔だった。ゴルドーは一礼するとブリッジから出る。
しばらくして、タラップの辺りからゴルドーが宇宙港のゲートに向かって歩いて行くのが見えた。
*
ユニコーン 応接室
ユニコーンの応接室は、本来は船室だったものを強引に改造しているので格調高いとか、落ち着きがあるとかという言葉とは無縁である。しかし、客人を迎えるために必要な最低限の設備は整っている。つまり、ソファと机と空調と照明である。
そんな応接室のソファに座り、対面に座る七三分けの資源商人と白野は尽きる事のない値切り合戦を行っていた。
白野達がスカーバレルがぶんどった資源は多い。
しかし、あまりに多すぎるので一箇所でまとめて売却すると買い叩かれる恐れがあるため、三等分にしてそのうちの一つをこのアークネージで処分するのととしたのであるが、それでも平均よりは頭一つ抜けて多い数だったので商人はすこしでも安く買おうとその舌先に商才の全てをかけて白野に値切りを敢行していた。
「10tで3000G。これ以上は出せません。」
「いや、3500だ。これではこちらが破産する。」
「そう言われましてもねぇ......」
商人は渋るが、すでに海千山千の大ベテランである白野にはその意図は見え透いていた。要するに、まだ許容範囲内の値段であるが、渋る事で相手に自主的に要求金額を下げさせるつもりなのである。
この七三分けの商人はなかやかの辣腕家と言うべきである。さすがは金銭で物事を測る国、ネージリンスの商人。したたかであると言わざる負えない。
白野でさえそうなのだから、経験の浅いギリアスに分配した分の資源は既に買い叩かれているかもしれないと白野は暗い予想をつける。
「......わかりました。それでは3250です?これ以上はどうやっても上がりませんのでそのつもりで。」
商人が重々しく言った。
白野は頭の中で計算する。
手にいれた資源の相場は10t3980G。しかし、したたかなネージリンス商人が信用が必要な大手会社などとの取引をするならともかく、流れの0Gドッグである白野達に馬鹿正直に相場の通り払うはずもない。
だとすれば、考えるべき命題はどうやって相場に近づけるか。
白野はギリギリ原価よりも低い3500を提示した。これには大きな意味がある。要するに、最初から相手を騙すつもりで値段を低く設定し徐々にあげる戦法を取るのではなく、最初から高い金額を提示して相手の値切りをどれほど受け付けないかという戦法をとったのである。
「............」
「............」
しばし、無言の睨み合いが続く。応接室の空調は部屋の気温を最適に保っているはずだが、見るものがみれば部屋の中に異様な熱気
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ