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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
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第二十六話 転校生
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わたくしも興味がありますわ」
「ただの幼なじみだよ」
「……」

 そう、幼なじみ。かつて日本にいたころのたった一つのいい思い出。この学園へ急遽入学を希望したのも彼がいるとわかったから。なのだが……何故か久しぶりの幼なじみは横に女生徒二人を侍らせていた。
 箒はともかく、セシリアは流れで一緒にいる部分が大きいのだが鈴にわかるはずもない。

「何睨んでるんだよ?」
「睨んでないわよ!」

 鈴の心中を理解できない一夏はやはり一夏だった。
 幼なじみという単語に怪訝な顔をしたのは箒だ。彼女もまた一夏の幼なじみなのだが見覚えがなかった。それもそのはずで、箒が一夏のもとを離れたタイミングでやってきたのが鈴である。その後、中国に帰国して今に至るわけだ。

「初めまして、凰さん。セシリア・オルコット、イギリス代表候補生ですわ」
「へぇ、そう。あなたもクラス代表なんだっけ? ま、戦ったら勝つのはあたしだけどね、そのときはよろしく」
「なっ!?」

 悪びれず、手をひらひらさせながらそう答える鈴にセシリアは激昂しかけるも寸前で落ち着いた。なんとなく、以前の自分と重なってしまったからだ。

「お、おい鈴。いきなり挑発みたいな真似するなよ……。セ、セシリア?」

 まるくなったとはいえ、元来のセシリアの性格を知っている一夏は恐る恐る彼女のほうを見る。すると顔が赤くはなっているものの、いくらか落ち着いてはいるようだった。

「だ、大丈夫ですわ、一夏さん。お姉さまに言われましたから、わたくしは常に冷静ですわ」
「そ、そうか」

 とはいえ、そうそう性格が矯正される訳でもなく彼女の額には青筋が浮かんでいる。もっともそれだけで耐えている彼女の成長を褒めるべきか。
 ちなみに二人は和解した際にお互い名前で呼び合うようになっていた。一夏がオルコットは呼びにくいというなんとも味気ない理由で……。

「お姉さま?」

 その言葉に疑問を持ったのが鈴だ。見るからにプライドが高そうで、現に簡単な挑発で怒りに震えている彼女がそう呼ぶ相手のことが気になった。

「ん? あぁ、4組の西園寺さんのことだよ。ちょっと前にセシリアと模擬戦やって勝った人」
「西園寺さん……って紫音のこと? 銀髪のすっごい美人」

 つい数時間前にであった少女の名前が出てきて鈴は驚く。まさか、彼女が代表候補生に勝てるような人だったとは思っていなかった。彼女は基本的に国外に興味がないため、西園寺の名前も代表候補生であるセシリアの名前も実は知らなかった。西園寺の機関だったSTCの名前くらいは知っているのだが。

「そう……って知り合いなのか?」
「えぇ、朝ちょっと世話になったの」
「そっか、俺も間接的にお世話になったんだよ。いやぁ、あの人本当に美人だよな
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