Development
第二十六話 転校生
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苦労しそうだなぁ。
そんなことを考えていたら、その赤らめた顔を上げる。その瞳はウルウルしており、何故か僕を真っ直ぐ見ている……え?
「彼を見て、わたくしも男性と向き合ってもいいとも思えました。彼が、この先どこまでいくのかを見たいとも思えました」
あれ、なんか嫌な予感がする……なんだろう、この感覚は。彼女は別に変なこと言ってないんだけど。
「それと同じくらい、いえそれ以上にわたくしに衝撃を与えてくれたのはあなたの存在です。ですから、その……これからもご指導くださいね、お姉さま!」
「……え、ち、ちょっと!?」
いや、なんでさ!? さっきまでの流れだったら織斑君のことが……ってとこじゃないの!? 高島さんや小鳥遊さんも未だに僕のことを『お姉さま』って呼んでくるしオルコットさんまで呼び出したら……あぁ……想像したくない。
僕が止める間もなく、彼女はそのまま走り去ってしまう。半ば僕はその後起こり得る出来事に頭を抱えながら茫然としてしまった。
「み〜た〜わ〜よ〜」
「きゃぁ!?」
突然耳元で誰かが囁き、思わず悲鳴をあげてしまう。
「ふふふ、可愛い悲鳴出しちゃって。それにしても青春してるわねぇ、紫音ちゃん」
「た、楯無さん……」
思わず飛び退いて、声のした方を見るとそこにはニヤニヤした楯無さんがいた。
あぁ……僕はまたなんて声を出してるんだ……。
「そ、そんな落ち込まないでよ。それにしても、青春してるわねぇ。彼女恋する乙女って感じだったわよ」
「あぅ……」
いろんな意味でショックな僕はそのまま項垂れる。
「ま、慕ってくれる子が増えるのはいいことじゃない。それに、別に彼女はあなたに惚れちゃったというかそういう訳じゃないわよ、きっと」
「そ、そうでしょうか……」
「……なに今さらそんなに動揺してるのよ。去年は散々周りの女の子誑かしてきたくせに」
やめて! バレンタインの出来事は思い出したくない! フォルテさんなんか暫くチョコレートを見るだけでプルプル震え出したくらいだし。
あぁ……でもそういうことか。
「そ、他の子たちと同じよ、一種の憧れね。……まぁ、多少違う子もいるようだけど、あの子の場合は大丈夫よ……たぶん。どっちかというと織斑君に興味がありそうだけど、あなたのインパクトが強すぎて自分の気持ちがわかってないって感じかしらね」
はぁ、なんか所々不安になるような言い回しだけどそういうことなら大丈夫かなぁ。
「ま、頑張りなさいな、お姉さま」
「た、楯無さん!?」
最後に一言、的確に僕の傷口に塩を塗り込んで楯無さんは立ち去る。
完全に面白がってるな彼女は……。
その後本音さんに聞いた話だと、1組でオルコット
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