第十四話 〜第二次蕃族掃討戦・前〜
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ワシが直々に率いて蛮族の地を平定する。
そういう作戦じゃ。
じゃが、それはあくまで名目で今回は一旦失敗させる。
本格的な平定は第三次からじゃ。
わざわざ一回失敗させるのはまず邪魔な奴らを消すため…。
その為にまずワシの率いる本隊に豪統、それからもう一人の憎き邪魔者、洋班を散々邪魔してくれたと聞いている凱雲を部隊両翼に従軍させる。
洋班と黄盛は本陣である陵陽関。
そして主戦場とは別の所にあるもう一つの拠点に豪統の餓鬼を一人で配した。
何故こうしたかと言うと、まず餓鬼のいる拠点は本来僻地であり、我が陵陽関にもそれ程遠くない場所に位置する。
つまりワシらにしてみれば本陣近くであり、敵からしたら相当敵勢力下に食い込んだ場所なのじゃ。
だから本来なら狙われない、または狙われてもこちらからすれば本陣近くで援軍を直ぐに寄越せて安全、敵からすれば撤退の効かない危険な地帯じゃ。
だが、だからこそ仮に、万が一にもここが敵に攻められ落ちるような事があればそれは主戦場へ向かう我が本軍が危険に晒されるばかりか、本陣にして辺境の最重要防衛拠点である陵陽関すら危険に晒され、それは同時に本土への危険にも繋がる。
つまりは最も安全であると同時に、最も責任のある拠点なのじゃ。
しかも今回は上手いこと餓鬼を唆す事ができたおかげでこの拠点の防衛役は餓鬼の志願という名目でやらせる事ができた。
当然、万が一の事態を切り抜けるだけの兵力などは主戦場の戦略価値を理由に餓鬼の拠点には渡してはいないし、餓鬼さえ失敗してくれれば後は本陣にいる洋班と黄盛にそれを十分に奪還しえる兵力を渡してある。
…といっても全体の兵力から本陣に必要以上に割いたのでは豪統共が騒ぐから、前もってワシが陵陽関に着く前に秘密裏に会都からの派兵軍を前軍、後軍に分けておいて、後軍には時間差で陵陽関に着くように命令してあったのじゃ。
だから今頃陵陽関には豪統共の知らぬ温存兵力があるのじゃ。
『くっくっく…』
まったく、ワシの知略とは恐ろしいものよ…。
仮に事が終わった後でこの事を咎められても、奴らは自分らの餓鬼の志願で重要拠点を紛失するんじゃ。
そればかりか先に述べた重責の責任もあるからいくら騒がれた所で餓鬼やその親、そしてその部下も纏めて合法的に消し去る事ができる。
そう思うと今から奴らの怒りと悔しさで顔を真っ赤にさせている姿が目に浮かんで笑えてくるわ…。
ん?
なに?
餓鬼の拠点に敵が来なければ意味が無いじゃと?
『はっはっはっはっはっ!』
なーに、安心せい。
ワシはそういう一か八かの賭けは嫌いなんじゃ。
いつだって地道に、そして堅実に生きてきたんじゃ。
抜かりは無いわ。
情報は既に売ってある。
それも飛び切りの上物をな。
『く
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