第十四話 〜第二次蕃族掃討戦・前〜
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よ。
だがしかし、浮いたままの地位に甘んじるワシじゃない。
それからは急いで前主時代に散々ワシを見下してきた連中に頭を付かせ、逆らう者は消してきた。
途中何度か本土側から警告紛いなものが届いたが、運が良い事に本土は本土で皇帝と古くから親しかったそうな宰相が死んだ事で宮中自体が荒れてくれて無視する時間ができた。
そればかりか統治の契機すらうやむやにして伸ばす事ができたのだから、零の宰相様々じゃ。
いや、この偶然は天がワシの並々ならぬ努力を見てこの地を納めよと仰せになられておるのじゃ。
全てはワシ自身のおかげ…か。
『がっはっはっはっは!!』
『…ッ!?』
おっと、いかんいかん。
ワシとした事が州牧としてあるまじき、いや、高貴なワシにあるまじき品の無い笑い方をしてしまった。
以後気をつけねばな。
そして、そしてじゃ!
烈州各地の実権を着実に握り続けた今、ついに最後となる舞台がこの地なのじゃ!
今思えば苦心に苦心を重ねていたこの地が最後の舞台になろうとは、まったくもって因果なものよ…。
まぁ実際この地に足を踏み入れたのは初めてだし、そもそも最後にこの地で締めれば後後自伝にしても華があるからという理由でわざとワシが最後にとっておいたのじゃがな。
『くっひっひっひっひ』
『…』
だがしかし、しかしじゃ…。
本当ならワシが直々にわざわざこんな辺境の地に足を踏み入れんでも州牧の権力を持ってすれば辺境の田舎の人事など幾らだって変える事ができた。
なのに何故だか知らんが異様に隣の旧流州の奴らが豪統の事をあれこれ聞いてくるもんだから不自然な人事をしようものなら何をしてくるかわからん。
いくらワシがこの地のほぼ全ての実権を握っているからといって流石に旧流州勢とやり合うにはまだ早い。
少し前に州を分割された云々とは聞いてはいるが、まだ完全に分割しきれていないのか支配力は衰えていないようだし、もう少し時間が必要だ。
まったく…最後の最後に手間をとらせおって。
だがまぁ今はまだ土地の豊かさや文化で圧倒的に劣ってはいるから見逃してやるが、いずれ蛮族の地を併合したら真っ先に潰してやる。
くふふ…。
奴ら思いもすまい。
まさかこの辺境の山岳地帯の先に流州並みの肥えた土地があるとは。
『くっ、くくっ…』
『お、おい、お前寄ってくんなよ…』
『いや、だってよ…』
『叱られるぞ』
『…』
だが、洋班さえしくじらなければあいつの名声稼ぎと蛮族の地の平定の一石二鳥で全て上手くいったものを…。
まったく、ワシの顔に泥を塗りおって。
だが、あいつもワシの息子じゃ。
それに恥じぬ程度には名声を掴んでもらわねばいかん。
だから、たからこそ今度の計画はとてつもなく完璧じゃ。
第二次蛮族討伐軍を
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