六十六 暗雲
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ていた水月の所作をも、しっかりと見届けていたのである。
「つまり彼は七人衆が所有する刀に並々ならぬ興味があり、且つ七本全て揃える事が目的だ。違うか?」
あっさり水月の目論みを破ったナルトが涼しげな顔で訊ねる。質問というよりほとんど確認に近い言葉に、水月は恨めしげにナルトを睨んだ。
話に耳を傾けていた再不斬は得心がいったとばかりに大きく頷くと、やにわに水月の胸ぐらを掴む。
「悪いけどな、コイツは俺の愛刀なんだよ。他をあたりな」
「……そうはいかない。絶対その首切り包丁をボクのモノにしてみせるよ」
開き直ったのか、水月は生意気にも宣言してみせた。「てめえ…」と今にも殴りかかろうとする再不斬の耳に、ナルトの思いもよらぬ一言が届く。
「それじゃ、俺達と共に来ないか?」
「はあ!?」
聞き捨てならないと、再不斬は鋭くナルトを見返した。
「何言ってやがる!?コイツは俺の刀を狙ってるんだぞ!」
「鬼人ともあろう者が己の得物をみすみす奪われるのか?」
「んなわけねえだろ!返り討ちにしてやらぁ!!」
上手くナルトの口車に乗せられているとも知らず、憤慨する再不斬。彼の怒りを軽くあしらって、ナルトは水月と顔を合わせた。
「首切り包丁と鮫肌以外の刀は行方知れずだ。独りより情報は集めやすいと思うが?」
「…………」
「多くは聞かない。たとえ君の本来の目的が別にあったとしてもね」
一瞬水月が目を見張る。まじまじと見つめてくる視線にナルトは肩を竦めてみせた。
『霧の忍刀七人衆』の特殊な忍刀は代々受け継ぐ習わしとなっており、刀を受け継ぐ度に襲名されてきたが、今や霧隠れの里が所有する忍刀は双刀のみ。
相次ぐ内乱等で再不斬のように所有者が刀ごと次々離反していったからである。故に忍刀の一振りである双刀以外は現在消失している有様なのだ。
霧隠れが唯一所有している双刀『ヒラメカレイ』は霧隠れの忍びにおいて周知の事実なので除外する。
「だが目下の目標は首切り包丁だろう?これを機に再不斬と接触しなければ、これから先会う機会もないかもしれないよ」
暫し考えを巡らせる水月の隣で再不斬が諦めたように溜息をついた。チッと舌打ちし、投げ捨てるように水月から手を離す。
「こんなクソガキが刀の扱い方を知っているのかも疑問だがな」
再不斬の挑発に水月がムッと顔を顰める。ジロリと再不斬を睨みつけた後、彼はにこやかな笑顔をナルトに向けた。
「そこまで言うなら、ついて行くよ。首切り包丁の主人としてね」
「無理だな。テメエなんざ、コイツを持ち上げるのも不可能だ」
ナルト達と行動を共にする旨を水月が口にするや否や、再不斬が即答する。再び不満顔になった水月がふんっと鼻を鳴らした。口許に嘲笑を湛える。
「ボクは諦めが悪いんでね
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