六十六 暗雲
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るせえ!」
重吾と白の非難に、再不斬は怒鳴った。若干冷や汗を掻いているのは気のせいだろう。
水月との最初の出会いは、自来也との対峙中。
あわや三忍と戦闘になる寸前に突然現れ、ある意味再不斬の危地を救った一度目。だが直後の「お礼はその首切り包丁でいいよ」という発言は頂けなかった。
そして二度目の鬼鮫との戦闘時。
優勢だった戦況に水を差し、あまつさえ鬼鮫を逃がした水月を再不斬は根に持っていた。なぜならジャングルの奥地にあるアジトでの修行は、鬼鮫との来たる闘いの為だったからだ。
かつて神農を始め空忍の本拠地だった要塞についての話をナルトから聞いた際、再不斬が口にした『アイツ』とは干柿鬼鮫を指していたのである。
初めて出会った時、「お礼は首切り包丁で」と無邪気に笑った水月。執拗に首切り包丁を狙う相手に再不斬はずいっと詰め寄った。首切り包丁を見せびらかすように掲げる。
「なぜコイツが欲しいんだ?」
唇を噛み締めた水月が顔を逸らす。口を噤んだままの彼に、再不斬はわざとらしく大きな溜息をついた。すると、それまで黙視していたナルトが出し抜けに口を開く。
「大方、『霧の忍刀七人衆』の忍刀が目当てなのだろう」
ハッと水月が顔を上げる。動揺に揺れる彼の瞳を目の端でちらりと捉え、「どういう事だ」と再不斬はナルトに訊ねた。
「確かにこの野郎は最初から俺の刀を狙っていたが、別に『七人衆』とは関係ないんじゃないか?ただの刀収集癖野郎だろ」
「刀を収集したいだけで、『根』の包囲網を掻い潜ってくるか?名刀欲しさだけであれだけの警備の目を潜るのは容易ではない。それに、鬼鮫を目にして歓喜の声を上げたところからも、『霧の忍刀七人衆』に対する敬意が感じ取れる。再不斬と鬼鮫を先輩と呼ぶ事も、同じ里の出身だからと言えばそれまでだが、元々鬼鮫の愛刀『鮫肌』は本来の七人衆から奪った代物。ただ七人衆を尊敬しているだけなら、鬼鮫まで先輩呼ばわりしないだろう」
淡々と語っていたナルトはそこで言葉を切った。心中を見透かすかのような口調に水月の顔が徐々に強張ってゆく。
ダンゾウとの取り引きにおいて、うちはイタチと干柿鬼鮫との対処を任されたナルト。
その際、周囲への被害を危惧したダンゾウにより橋の周辺は『根』の忍び達が包囲していた。勿論イタチとの会話などはナルトの術の効果で聞かれていないが、再不斬と鬼鮫の戦闘にはわざと何も術をかけていない。
即ち、彼ら二人の激しい闘いは周囲に筒抜けだったのだ。
通常、苛烈な戦闘を目の当たりにした者は巻き込まれまいと遠ざかるが、逆に水月は飛び込んで来た。イタチとサスケの会話を見守りつつ、再不斬と白にも意識を向けていたナルトは水月の介入をその眼に捉えていた。
また、首切り包丁だけではなく鮫肌も興味津々に見つめ
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