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渦巻く滄海 紅き空 【上】
六十六 暗雲
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手段よ」
聊かぞんざいな物言いで、それでいてどこか押し殺した声で大蛇丸は答えた。

そしてサッと身を翻すと、未だ立ち竦むカブトを急かすように「多少手荒な手を使っても構わないわ」と冷笑を浮かべる。
促され、先んじて大蛇丸の前に立ったカブトは恭しく外界への扉に手をやった。重厚な扉が左右に開かれる。外界の光が室内の重苦しさを一瞬で払拭し、涼しげな風が吹き込んだ。
「さっさと用件を済ませましょう」

一歩、前に出る。焼けつく腕の痛みを消す方法を求め、大蛇丸は外の世界へ足を踏み出した。その後方に随い、カブトが扉を厳かに閉める。

外界への道を閉ざされた途端、室内に溢れていたやわらかな光は瞬く間に消え、蝋燭の炎もふっと掻き消える。
瓶に詰められた数多の蛇達が空ろな眼窩で扉を見つめていた。


















「あ――…くそ!難しいってばよぉ!!」
地団駄を踏む。
力尽き、バタリと布団の上で大の字になる。彼女の傍らには赤い水風船がおざなりに転がっていた。
「エロ仙人も何かコツでも教えていってくれたらよかったのに…」

いきなり捜し人の弟子だというアマルと出会った自来也は、意気揚々と出掛けて行ってしまったのだ。それもナルと仲良くなったばかりのアマルを引き連れて。
ナルもついて行きたかったが、会得難易度Aランクの超高等忍術【螺旋丸】の修行を自来也に言い渡されたのでそうもいかない。もっともナル自身、術を覚えたいのは山々なので文句は無い。
現に自来也・アマルと別れてから、独りで黙々と修行に打ち込んでいたのだ。

火影を目指す者として、四代目火影が遺した術と聞いては、黙ってはいられない。
だが超高等忍術だけあって修行も三段階あり、水風船割りはまだ序の口の第一段階。
感覚でなんとなく右回りに回転させているが、一向に水風船が割れる気配はない。
一段階もクリア出来ない今の状況を打破しようにも、どうしようもない現状にナルは苛立っていた。
結局修行開始から長時間が過ぎ、あっという間に夜となったので、すごすごと宿に戻ってきた次第である。


「…エロ仙人、帰って来ないのかなぁ」
修行疲れで重たい身体を無理に起こし、ナルは部屋の扉をそっと開けた。自来也の姿が見えないか、隙間から通路を覗き見る。
だが見えたのは人の足などではなく、動物の足だった。思わず目を瞬かせる。
「にゃーお」

鳴き声で合点が行ったナルは扉を僅かに開けた。その微々たる隙間をすり抜け、一匹の猫が部屋に入って来る。雪白の毛に茶の斑が雑ざった、可愛らしい猫。
「お前、この宿の猫?」

自来也が宿泊手続きをしていた際、ナルの目の前を横切って行った猫。確か宿の主人にシュウと呼ばれていた気がする。
元来動物好きのナル
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