暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
動き出す使者 〜後編〜
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リオンに警戒する中、この2体の頭の中に1つの疑問が生まれる。それはルシリオンがいつの間に贋物と入れ替わったか、ということだ。

「でも欠陥品の首に刃が当たったのは間違いないよ。刃先に・・・血が付いてるしさ」

マモンはアスモデウスへ大鎌の刃先を向ける。そこには確かに乾いていない赤い血が付着していた。これは本物であるルシリオンに何らかのダメージが入っている証拠である。

「仕掛けてこないということは、すぐに仕掛けられないような傷を負ったということかしら?」

「案外もう死んでるかもよ? 首って人間の急所だしさ」

「その油断が自分の終わりを呼ぶわよ、マモン」

アスモデウスはマモンから大鎌を受け取り肩に担いだ。

「・・・わたし・・・先に戻っていい?」

今まで沈黙していたレヴィヤタンがそう囁く。当然それは許されない。だがそれを承知で彼女は告げた。

「もう少し待って。それはそうとレヴィヤタン。あなたも少しルーテシアに固執しすぎよ? 彼女もまたこの世界と一緒に消えるんだから、必要以上に関わるのはやめなさい」

アスモデウスはレヴィヤタンにそう告げる。レヴィヤタンは少し逡巡した後、コクリと小さく頷いた。それはこの場での待機のことか、それともルーテシアとの関係のことか、アスモデウスには判らなかった。

「・・・探すのも面倒だし仕方ないわ。この付近一帯を吹き飛ばしましょう」

「おおっ、過激だね。でも大賛成♪ 壊すの大好き?」

「・・・判った・・・」

3体が行動に移ろうとしたその時、それは起こった。

――我が御名の下、開け、英雄の居館(ヴァルハラ)――

「「なにっ!?」」「あ・・・」

3体のすぐ近くで黒い穴が開いた。そして彼女たちを?み込もうと勢いよく吸引を始める。アスモデウスは呑まれた右腕を自ら切断して、側に居たレヴィヤタンの速度を以って離脱、完全に穴へ呑まれることはなかった。しかし、あまりにその穴に近かったマモンは成す術なく呑み込まれた。この瞬間、マモンの消滅は確定された。
ルシリオンの精神世界にて展開されている創世結界・“英雄の居館ヴァルハラ”に居る“異界英雄エインヘリヤル”は、総勢3万超。だが全員が戦闘員というわけではない。だがそれはマモンにとっては何の気休めにもならない。“エインヘリヤル”の中には、正真正銘の神だっているのだから、戦い以前の問題なのだ。

「やってくれるじゃない、欠陥品・・・!」

アスモデウスの綺麗な顔が怒りに歪む。自らが決定した行動の果てのマモンの消滅。レヴィヤタンだけは無表情を崩さず、「・・・ルーテシアに・・・早く会いたい・・・」仲間の消滅よりひたすらルーテシアの事を考えていた。

・―・―・―・―・

アスモデウスとレヴィヤタンから離れ
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