第52話 魔法世界にて
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場のボルテージが一気に上がる。
「へぇ、さすがにやるな。だが、な」
左腕のことを全く気にする風もなく、ラカンは懐からパクティオーカードを取りだし、左腕をなんかゴツイ装甲に包まれた左腕に交換する。
「デタラメやなぁ」
まったくその通りだと木乃香の意見に同意したいわ。
「これならどうだ」
換装した左腕と右腕を使って、次々に放たれる拳圧。
その数は優に数十を超え、端から見れば拳圧の壁のように見える。
「百烈桜華斬」
神鳴流最速の剣でラカンの手数に対応する。
体感時間だと1時間は超えたように思えたが、実際は2分も経ってないのかも知れない。
こちらの剣の隙を抜いてラカンの右拳がオレの顔面に入り、吹き飛んでしまう。
「あ、暁くんっ」
木乃香が駆け寄り、倒れているオレを回復呪文で直ぐに回復してくれる。
「なるほど、なるほど。まだまだ余裕がありそうだな。なら少しずつ本気を出していくぜ。はあぁぁっ!」
何を思ってこっちに余裕があると思ったのか知らないが、これまでの無造作に振るう数に頼った一撃ではなく、十分に気を集中した拳による一撃、つまり今までのジャブ主体からストレートのコンビネーションを含めた攻撃に切り替え、攻撃してくる。
さすがにこれを喰らうのはマズイので、今回の修行で新たに獲得した念の複合技「陣」−−−身体は「堅」、武器に「周」で攻防力を上げ、同時に「円」で範囲内の対象の動きを読む−−−で対抗する。
お互いに近距離で刀と拳で繰り出すが、ほとんど当たらず、当たってもその防御力を抜くことができない。
ていうか、「周」で強化したデバイスで斬れないってどんだけ固いんだよ!
だが、大戦の英雄にとってはまだまだウォームアップ段階らしく、その拳の速さと威力が徐々に増していく。
ラカンの手から放たれる気の籠もった拳圧。
あるいはそれを囮にしてこちらの懐に入り込んでの至近距離からの一撃。
それらの攻撃をあるいは躱し、あるいはスサノオの防御呪文で防ぎ、致命的な一撃になりそうなものは瞬動を使って距離を取って、ぶっちゃけ逃げる。
ウォォォォォォォォッ!
観客からすれば思いも寄らない善戦なんだろう、オレとラカンの攻防に会場はどんどんヒートアップしていく。
あるいは端から見れば互角に見えるかも知れないが、実は、段々ラカンにこちらの攻撃が当たらなくなってきている。
ちょっと前まではダメージを与えれずとも当たっていたものが、回避されてしまい、その分ラカンの攻撃時間が長くなっているのだ。
「ふん、当たらないのが不思議か? あめぇよ。神鳴流は詠旬の技を散々見てるんだ。おめぇもなかなかやるがまだ詠旬には届いてね
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