TURN118 アルビルダの帰還その七
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「これはまさか」
「缶詰だ」
「いや、普通の缶詰じゃないでしょ」
こうスウェーデンに問う。
「絶対に」
「安心するだ、食べられるだ」
「本当に?」
「んだ」
スウェーデンは小さく頷いて台湾に応える。
「じゃあ開けるだ」
「いや、ちょっと待ってや」
メキシコが缶切りを出してきたスウェーデンをここで止めた。
「それここで開けるんかいな」
「そだ」
「絶対にまずいやろ、それは」
メキシコもまた本能的に察して言う。
「ここ室内やで」
「そうよ、その膨らみ方からいっても」
台湾はそこに危険なものを察していた、とにかく今彼等の目の前にある缶詰は尋常ではないまでに膨れているのだ。
その膨らみを見つつだ、台湾jは再びスウェーデンに言った。
「悪いけれどね」
「食べないだか」
「ここではね」
少なくとも室内では、というのだ。
「食べないわ」
「そか」
「別にいいんじゃないか?」
台湾達にとって都合の悪いことにここでランスが出て来た、尚彼の本来の世界には缶詰なぞ存在しない。
「ここで開けてもな」
「いや、これはかなり」
「まずいで」
「ちょっと膨らんでるだけの缶詰だろ」
ランスはその缶詰を見ながら言った。
「それだったらな」
「違うわよ、膨らんでる缶詰はね」
「仲が腐ってるってことやさかいな」
「これは下手に開けたら」
「とんでもないことになるで」
「そうか?じゃあ外に行ってか」
ランスもその缶詰を見ているうちに危機を察した、そしてこう言った。
「開けるか」
「そう、そうしようね」
「さもないと大惨事になるで」
「じゃあ外に持って行くだ」
スウェーデンもやや無愛想な感じで言った。
「そこで開けて皆で食べるだ」
「それじゃあ皆も呼んでね」
「食べるで」
こう話してそしてだった、一行はとりあえず外に出た。皆も呼んだがここでフィンランドが言うのだった。
「ああ、これはお外で食べるべきものですから」
「やっぱりそうだったのね」
「シュールストレミングですね」
これがこの缶詰の名前だというのだ。
「中は物凄い匂いがしますから」
「匂いっていうと」
そう聞いてだ、台湾はこの料理の名前を出した。
「臭豆腐みたいなの?」
「台湾さんのところにも臭うお料理があるんですね」
「香港も食べてるわよ」
「あれはもう強烈的な」
香港も答えてきた。
「臭いが強過ぎる的な」
「老師も人前ではあまり食べるなって言うのよ」
「当たり前ある、あんな臭いでは迷惑あるよ」
中国も顔を顰めさせて言う。
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