TURN118 アルビルダの帰還その四
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「あの、僕達ですけれど」
「ああ、君達さえよければな」
東郷もフィンランドに応えて言う。
「共に戦ってくれるか」
「わかりました、それじゃあ」
「ヒムラーさんも俺達に勝手にしてくれって言ったっぺ」
本当にこう言ったのだった。
「だから枢軸に入らせてもらうっぺよ」
「随分あっさりとしてるな」
「それが北欧だっぺ」
デンマークは明るい笑顔で東郷に答えた。
「だから宜しくっぺよ」
「では早速アフリカに来てもらうが」
「ああ、わかったっぺよ」
デンマークは北欧の国家達を代表して東郷に答えた。
「じゃあ仲良くやるっぺ」
「そういうことでな」
「それでだ」
アルビルダがまた言って来た、相変わらず騒がしい調子だ。
「父上は何処だ?」
「王様だか」
「そうだ、生きておられるか?」
こうスウェーデンに問うた。
「いたら何処におられるか教えろ」
「陛下だったら王宮だ」
スウェーデンはその独特の訛りのある口調で答えた。
「そこにおられるだ」
「そうか、わかった」
「お元気だ」
スウェーデンはアルビルダに王の体調のことも話した。
「だから安心するだ」
「わかった、じゃあ行って来るぞ」
こうしてアルビルダは王宮に入った、そこには黒く丸い毛の塊がいた、北欧の者であることがすぐにわかる。
その彼がだ、アルビルダを見てすぐに言って来た。
「おおアルビルダ元気だったか」
「父上もだな」
「うむ、こうして」
元気だとだ、アルビルダに笑顔で返す。
「国にも戻って来られたからな」
「今までどうしていたんだ?」
「エイリスに亡命していた」
そしてだったというのだ。
「それで今戻った」
「そうだったのか」
「そうだ、しかしだ」
「母上がおられないぞ」
「あれは逃げた」
話がここで変わった。
「まあそのだ」
「どうして逃げたんだ?」
「男だ」
それでだというのだ。
「戦乱の中で離れ離れになっているうちにだ」
「浮気したのか、母上は」
「そうだ、それでだ」
「逃げたのか」
「参っている、正直な」
敗戦の時よりもだ、王は明らかに落ち込んでいた。そのうえでの言葉だ。
「どうしたものか」
「安心しろ、なら私が婿を迎えてだ」
「王家を継いでくれるか」
「出来れば東郷がいいが」
だがこれはだった、彼が既に結婚しているからだ。
「無理ならな」
「強い男がだな」
「そうだ、私は好きだ」
それも大好きである。
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