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魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
狂おしき者と大罪
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たことはある。だが、それはなのは達とは違い、教授していた技術はすべて完全に人を殺すためだけのものだった。

「それにしてもいいっすね。若い連中は・・・」

「若いだけあって成長も早い。そうは言ってもしばらくは危なっかしいだろうがな」

ヴァイスとシグナムの会話に現実へと引き戻される。最近はこんなことが多々ある。しばらく過去の記憶を遮断しておいた方がいいかもな。いや、それは逃げだ。私に、立ち止まる、振り返る、逃げる、という選択肢は無い。あってはならない。

「さて、話は変わるがセインテスト、暇なら私と少々付き合え」

「シ、シグナム姐さん・・・?」

シグナムの言葉にヴァイスが目を見開き、だらしなく口を開けている。おそらく、付き合え、という言葉に反応したんだろうが、絶対にそういう意味じゃない。

「仕事か何かか? 私に許されている限りでの――」

「模擬戦だ」

「はい?」

いつの間にやら“レヴァンティン”を手にシグナムが私を見据えている。ヴァイスは笑いを堪えながら手を振っている。さよならお達者で、と言いたいのかこの野郎。

「すでに主はやてには模擬戦の許可は取ってある。昼休憩までの残り1時間、私と模擬戦をしてもらおう」

「いや、少し待ってくれ。訓練を見守るのも仕事と言ったよな。だったらこのまま――」

「模擬戦は大切なことだ。何せ私が出撃()ることはなかなかないからな。腕を鈍らせないようにするには、それ相応の相手と競わねばなるまい?」

“レヴァンティン”の切っ先を私に向けながら微笑みを浮かべるシグナム。なるまい?じゃないぞ、おい。相応の相手って、シャルがいるだろうに・・・。

「それならシャルの方がいいんじゃないのか? 私のような砲撃支援タイプではつまらない戦いになると思うが・・・」

「それなら問題ない。お前が槍の使い手としてかなりの腕を持っていることは聞いている」

槍の腕前を聞いているって、そんなこと知っているのはシャルだけのはず・・・。そこまで考えてようやく理解した。

「私を売りやがったなシャルロッテぇぇぇーーーーーーッッ!!」

シャルはシグナムに模擬戦をするように言い寄られていた。それはシャルの剣の実力をシグナムが高く買っているからだ。当然だ。シャルは生前、我が義姉である風迅王イヴィリシリアと並ぶ最強とされた剣士だ。当時の体型に戻ったシャルの今の剣士としての腕は、現代の次元世界においてはおそらく最強だ。
まぁそれは置いといて、そんなシグナムから解放されるにはどうすればいいか。決まっている、身代わりを用意すればいいだけのことだ。しかもそれが自分に匹敵する実力者と言えば、シグナムも乗ってくるだろう。それで白羽の矢が立ったのが私、というわけだ。やってくれるあの女。
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