響の夏休み2
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。それにアナタを信頼してる」
「……ああ」
「あの子たちはアナタのことを友達だと思ってる。アナタもそうでしょ?」
「そりゃあ、まぁな」
紫音の追求に響はぎこちなく答える。しかし、紫音はさらに言葉をつなげる。
「だけど私の見る限り、アナタはまだ怖いんじゃないの?」
「……」
「奏嗣くんの時みたいにならないかって思ってるんじゃないの? だからまだ親友の域に踏み込めてない。はたから見れば完全に中のいい友達同士って感じだけど。私の目はごまかせない。響、アンタは恐れてる」
「……そう、だな」
顔を俯かせながら言う響の声にはいつものように力がない。
「過去のことを顧みるのは悪いことじゃないわ。だけどね、響。いつまでも怖がってたらアンタはまた独りになる。恐怖を捨てろとは言わないわ、恐怖と向き合いなさい」
「逃げてねぇよ……」
「だったらなんで、奏嗣くんと向き合わないの?」
「それは、アイツがうぜぇから」
「それが逃げてるって言ってんだよ響」
瞬間、紫音の眼光が今までにないほどに鋭く、そして鋭利になった。口調も先ほどまでの優しげなものではなく、一気に男勝りな口調に変わる。
「お前は強がってるだけだ。過去の失敗を気にしない風に振舞っても本質的には何も変わっちゃいない。せっかく出来た友達にも一線をひいて深く踏み込もうとしない。これを逃げてる以外になんて言う?」
紫音の言葉に響は歯噛みする。眉間には皺がよっており、拳を握り締めている。しかし紫音はそんな響の肩に手を置いて声をかける。
「もういい加減自分を許してやりな響。過去におきたことは変えられない。それよりもお前は今を見ろ。今のお前にはあの子達がいる……だったらあの子たちを何が何でも守りぬけ。何に変えても、絶対に」
紫音は言い終えると、響を自分に引き寄せ抱きしめる。響は一瞬驚いたようだったが、すぐに紫音に身を任せる。
「明日にはとは言わない。だけどいつかあの子たちにアンタの過去を話してあげな」
「ああ。そうだな。だけどさ母さん……」
「何?」
紫音が響の顔を覗き込むと、彼女はとてもいい笑顔で。
「いい加減尻を撫でるのをやめろ」
「あ、ばれてた?」
反応した瞬間、紫音の顎に強烈な頭突きが繰り出される。しかし、紫音はそれをさらりと避けるた。
「いやー、久々のさわり心地堪能させてもらったわー。浴衣だったからなおよし!!」
「うっさいわ!! さっさと寝やがれ馬鹿親!!」
「はいはーい。んじゃあおやすみー」
そういった紫音はベランダから消えていった。それを溜息をつきながら見ていた響だが、暫くすると外に広がる夜景を見つめつつ呟いた。
「まぁ、
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