響の夏休み2
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セシリアは夏の暑さなど何処吹く風といったように、清々しいまでの笑顔をしていた。何故か言うと、
「フフフ、ついにやってきましたわ……響さんのご実家に」
そう、彼女の目の前には響の家がある。
「お土産のスウィーツも買ってきましたし、準備は万端ですわ」
彼女はお土産と思しき箱を持っている。それにはなんとも高級そうなエンブレムが入っている。そして、セシリアは意を決したようにインターホンに手を伸ばすが、その手が触れる直前で引っ込めた。
「な、なんと言えばいいのでしょう? 事前に連絡してあるのですから普通に挨拶すればいいのでしょうが……それだとなんとも味気ないような……いやでも……」
はたから見ればなんともアホらしいことで悩んでいるセシリアだが、彼女にとっては大問題なのだ。
しかし、
「あの、家に何か御用でしょうか?」
「ふえっ!?」
セシリアが振り返るとそこには、自分達より一学年年下くらいの女の子が首を傾げながら立っていた。
……あれ? でもこの方どことなく響さんに似ているような?
すると、女の子の方は何かを思い出したかのように手を叩いた。
「もしかして、姉さんのお友達のセシリアさんですか?」
「え、あ、はい! わたくし、響さんの学友のセシリア・オルコットといいます!」
「ああ、やっぱり。あ、私も自己紹介しておきますね。初めまして、鳴雨渉です。姉さんなら中にいると思うのでどうぞ」
渉は自己紹介を終えると、門を開け玄関を開ける。セシリアもそれに続き、家の中に入っていく。
「お邪魔いたします」
「どうぞー。姉さーん! セシリアさん来たよー!!」
渉が二階にいるであろう響きを呼ぶと、響の声が聞こえた。小さく溜息をついた渉はリビングのドアを開け、セシリアを促す。
「ソファにでも座って待っててください」
「あ、はい。ありがとうございます。あと、これ……」
セシリアは持っていた箱を渉に渡す。渉はそれを笑顔で受け取ると、キッチンに持っていき、冷蔵庫から取り出した麦茶を入れ始めた。
「もしかして、セシリアさん紅茶とかの方がいいですか?」
「大丈夫ですわ。お気遣いなく」
「ありがとうございます。……じゃあ、これ麦茶なんですけど」
「いただきます」
セシリアは渉から手渡された麦茶を受け取ると、一口含む。麦茶特有の香ばしい香りと爽やかな清涼感が感じられる。
「はふ……」
「なぁに変な声出してんだよ」
「ひえっ!?」
一息ついたところにいきなり、後ろから現れた響にセシリアは飛び上がり、変な声を出してしまう。
響はその様子が面白かったのか、ケラケラと笑う。彼女はセシリアの前に回
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