第十九話
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
第十九話 完全なる世界
side レイト
「ふむ、なかなかうまいコーヒーだ。良い豆だし、入れ方もうまい。90点だな」
「『教授』にそう言われると誇らしいけど残り10点はどうなんだい?」
「惜しむはここから見える景色だな。それが5点、残りは向上心を忘れて欲しくないという5点」
ここから見える景色は広大な荒れ地。景色としてはあまり褒められる所ではない。
「そうかい、なら今度は別の場所でごちそうさせてもらおう」
「そうしてくれ」
カップをソーサーに戻し今までの『教授』の顔から『形なきもの』顔にかえる。
「オレになんのようだ。完全なる世界」
話は数日前にさかのぼる。
いつもの様に元老院の所在を調べて襲撃に来たのだが屋敷には誰もおらず罠の可能性を疑っていた所に完全なる世界に所属しているという青年が現れた。そいつが言うにはオレが探し求めている物はこちらで確保しているから一人で引き取りにきて欲しいという事らしい。ここにいた元老院は既に目の前にいる青年が殺したらしい。そしてキティに怒られながらも一人で向こう側が指定した墓守り人の宮殿に来るとすぐにあのときの青年に残りの研究成果の所まで案内され、動作確認、修理、封印を施しダイオラマ魔法球に収納する。それから少し話したい事があるというのでコーヒーをごちそうになり現在に至る。
「できれば完全なる世界とは呼んで欲しくないんだけど」
「なら名前を教えろ」
「貴方なら知っているだろう」
「知っているさ、だが本人に許可を貰ってもいないのに呼ぶのは嫌だろう」
「確かにね、なら改めてフェイト・アーウェルンクスだ。フェイトでいいよ」
「レイト・テンリュウだ。好きに呼べば良い」
「ならレイトと呼ばせてもらおう」
「で、本題は。オレとしては目的も達したから旧世界で隠居でもしたいんだけど」
「へえ、どうしてだい」
「それをお前達が聞くのか?この世界を消そうとしているのに」
「レイトはこの世界の事をどこまで知っている」
「『箱庭』」
「言い得て妙だね。そうさ、そして壊れ始めている。限界が近いのさ。だから強引にでも新しい箱庭に移住させるのが僕たちの目的さ」
ここに来て新事実が判明してしまった。今まで完全なる世界が行おうとしていた事がまさか世界を救うためだったとは。いや、待てよ。
「ならなぜ戦争を起こす必要があった」
「『箱庭』に気付いているなら『人形』にも気付いているんだろう」
『人形』
この世界が箱庭である事を理解した時に気付いた魔法世界に住んでいる住人の事だ。
俗にいう亜人の事だ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ