戦端は凡常にして優雅なりき
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勢いを挫いてやればいいんです」
元気よく声を上げる牡丹もいつも通りで私は些か気持ちがほぐれてきた。
今回、袁紹軍が続けて向かったとの報告があった第二の関所に向かっているが、敵の迅速な進撃から予測すると既に落とされていてもおかしくない。
だが、焦って急いても軍自体の無駄な疲労に繋がるだけ。急いで着いて疲れていたので負けました、では話にならない。
それなら兵達が全力で戦えるように、怒りの力を溜めさせ、戦で爆発させるほうを取る。
間違いなく勝つために全速力の行軍を行っている。
急く心が現れているのか、手綱を握る手に力が入るが、誤魔化す為に二人に話しかけ続ける。
「そういえば……あいつらも徐州に無事移り住んだらしいな。桃香も初めての州牧だ、きっと大変だろうに」
「やはりこの機を狙ってわざと徐州に送ったのでしょう」
「あー……そういう考え方も出来るのか。単純に前の戦で立てた功績がかなりあったから、そのおかげかと思ってたよ。そうかぁ、全て私の国を攻める為に仕組まれていたなんてなぁ」
そう考えると確かに納得が行く。
今回、桃香の異例の出世には私も曹操も全く口添えをしていなかったはずだから。
そこで思考に少しだけ変な考えが起こった。
「なぁ、まさかとは思うが……桃香達を徐州に送ったのって、この次に攻める為じゃないのか?」
袁紹領の他の州内部も着々と制圧して完全な勢力下において行っているとの情報もあるし、迅速に行動出来るわけだから桃香の所に攻め入るのも容易にだろう。
「……しかし白蓮様、今袁家は二分されておりますし、袁術が先に攻めるんじゃないですか?」
牡丹から反論が上がる。確かに袁家は二分されているから今頃移り住んだばかりの桃香達を攻める算段を立てている事だろう。
だがどうしても……何故か不快感が拭えなかった。
「然り、南には曹操もおるのです。その大きな敵を放置して、言っては悪いですが移り住んで間もない小さな敵である劉備殿達を狙うというのはあまりに浅はかではなかろうか」
「そう……だな。曹操は強いし……ていうかダメだこれじゃ! なんでこんな話をしてるんだ!」
あまりにバカらしい話をしてしまった。
何故自分達が負けた後の話などしてしまったのだろうか。
「クク、友を想う心の発露でございましょう。まさしく白蓮殿らしい。その優しさこそ幽州の民があなたを好きな理由なのですから、胸を張って誇っていいのでは?」
嬉しい事を言ってくれる。
現在目の前に迫る敵に頭を悩ませるで無く、桃香達の事を心配してしまう私をも認めてくれるなんて。
「星、白蓮様は暗にこう言ってるんです。袁家なぞもう眼中には無いからさっさと倒して星を秋斗に会わせてやる、って」
「……牡丹。洛陽で甘えた声を出して秋斗殿に擦り寄っていたのは何処の
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