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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第二十話「最終試験」
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と力が拮抗して動かなくなる」


 現に今も、窓際最後列の女生徒二人がコソコソと会話していた。


 耳をすませてみると――。


「青野君ってちょっと変わった?」


「だよねー。なんか逞しくなったっていうか……」


「やっぱりユマもそう思う? なんか体つきもガッチリしてるよね。さっきぶつかった時なんか胸板はんぱなかったもん」


「アタシ、この前はぐれ妖の先輩にいちゃもんつけられてたの見たけど」


「はぐれ妖って力だけは強い人ばっかりじゃん……。で、どうだったの?」


「旧校舎の方に連れて行かれた見えなかったけど、なんかすごい音がしたと思ったら青野くんが出てきたの。後になって校舎に行ったら、先輩が壁にめり込んでた。……しかも、その先輩って言うのが山本先輩なの」


「うそ……山本先輩って、あのヤンキー山本!? 一時期はぐれ妖の幹部に勧誘されたこともあるっていう」


「そう、その山本先輩」


「……青野くんってああ見えて強いんだねー」


 ――ふむ。さっそく修行の成果が出ているようでなによりだな。まあ、それはさておき。


 横薙ぎに腕を振るい、手にしていたチョークを投擲。


 狙いは寸分違わず、的である平泉と腰越の額に命中した。


 パァンッ、と音が鳴り響く。


 二人揃って「ぐぉぉぉぉ……ッ」と悶絶しているのを睥睨しながら教科書片手に一言。


「私語厳禁」


 途端緊張に包まれるクラス。皆の視線が机に突っ伏す二人に向けられるが、そのほとんどが同情的な視線と阿呆に向けるそれだった。


「この私でも見切れなかっただと……? 奴は化け物か?」


 呆然とこちらを見ながら小さく言葉を漏らす萌香。


 ……萌香よ。先生に向かって奴なんて言うな。お兄ちゃん化け物呼ばわりされて悲しいぞ。





   †                    †                    †





 今日一日の勤めも終わり、青野を連れていつもの修行場へと赴いた。大きく開けた場所で対峙する。


 青野にはこれから最終試験が始まると伝えてある。そのためか、いつもより気合が入っている様子だ。


「では、これより最終試験を始める」


「はいっ!」


「いい返事だ。さて、肝心の試験の内容だが……」


 ゴクッと息を呑む音が聞こえた。緊張を漲らせる青野に告げる。


「俺と組み手をしてもらう」


「へっ?」


 間の抜けた声を漏らしながら目を瞬かせる青野。


 くぁ〜、とハクがあくびをした。


「でも、組み手ならいつもしてま
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