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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第二十話「最終試験」
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を入れている人たちだ。


 俺は毎朝、このランニングを欠かさず行っている。


 まずは軽く流し、十分に体が温まったところでノンストップの全力疾走を一時間。


 住宅街を抜け、途中山道を掛け、再びスタート地点の自宅まで戻る。一周五キロほどの距離を延々と時間が許す限り走り続けるのが日課だ。


 現在の記録は六周。日々記録が少しずつ伸びているため、自分の限界に挑戦している感じがして気持ちがいい。


「風が気持ちいいですー」


 のんびりした声でハクが言う。視線を下げると気持ちよさそうに目を細めていた。


「おうアンちゃん! 今日も朝早いな!」


 途中、顔見知りの新聞配達の安藤さんと顔を合わせた。


 バイクに乗っている安藤さんは隣を併走しながらニカッと歯を見せる。


「安藤さんも朝からお勤めご苦労様です」


「なぁに、それが仕事だからな。それにしても、相変わらずアンちゃん足速いな! 余裕で隣を走ってたの見たときにゃ、びっくりして心臓止まるかと思ったぜ」


「日頃の鍛錬の賜物ですよ。継続は力なりです」


「今時の若い連中にも聞かせてやりてぇな」


 そうひとりごちた彼は「俺はこっちだからよ」と進路を変えた。運がよければまた明日も会えるだろう。


 それから一時間走り続けた俺は帰宅して汗を流し、スーツに着替えて家を出た。





   †                    †                    †





「妖の中には骨を持たない者もいるが、このように人間の身体は骨によって支えられている。大小合わせて二百個弱存在する」


 曇り一つない晴天。


 今日も今日とて担当のクラスである一年二組で教鞭を振るっていた。


 今は二時限目の生物学の授業だ。教壇に立つ姿も当初の頃と比べて様になってきていると思いたい。


「そして筋肉は骨に付着している。筋肉が収縮することで骨を動かし、様々な動作や運動を可能にするわけだ」


 クラスの生徒の大半は大人しく俺の授業を聞いてくれている。


 初めは各々好き勝手に過ごしてまともに授業できる環境ではなかったが、『指導』するとすぐに授業態度を改めてくた。聞き分けのある生徒は好きだ。


「そんな筋肉が単体で動くことはまずない。必ず複数の筋肉も同時に働いているんだ」


 しかし、中にはまだ俺の熱意が伝わらない生徒が居るらしく、コソコソと隣で話し合ったり、居眠りしたりする生徒が出てくる。


「例えば肘を曲げる動作を取ってみても、上腕二頭筋の収縮と上腕三頭筋の弛緩が必要だ。片方が収縮したら反対の筋肉が弛緩しない
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