第7話 どの錠前にする?
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「こいつにどのジョーマエをはめるか、それがモンダイだ」
野外劇場の舞台の中心で、咲たちは円になって座っている。今日はダンススクールがない日なので、リトルスターマインのステージ後の時間を作戦会議に当てたのだ。
輪の中心には黒光りする戦極ドライバー。インジケータはまだブランク。
「……おれたちの手持ちは、ヒマワリと、パインと、ドラゴンフルーツ」
チューやんが言いながら一つずつ錠前を置いていった。
白黒、黄色、紅色。鮮やかなフルーツのデザインが一列に並べられる。
「Dが1コにAが2コね。これはマジ、ヘキサさまさまよね」
「な〜。よくAクラス2コも買えたよなー」
「あ……その、へそくりがあって」
『おー』
へそくり。何となく大金がありそうなイメージの言葉である。具体的にいくらからがへそくりかは、コドモの咲には想像もつかないが。
「とりあえずパインはなしね。鎧武とネタがカブっちゃう」
咲がぽいと投げたパインロックシードをモン太が空かさずキャッチした。さながらフリスビーを投げられた犬である。
「ヒマワリはDだからショーキョホーでドラゴンフルーツ決定じゃない?」
鎧武もバロンも使用していたのはAクラスの錠前だった。咲もAクラスのドラゴンフルーツで変身するのが妥当だとは思う。
だが、妥当すぎて、つまらない。
ヒマワリロックシードは最下位クラスだが、実は――的なびっくりどっきりギミックがあったりしないだろうか。なくとも、あえて弱いロックシードで勝つと、カッコよくないだろうか。
空想してみる。鎧武とバロン、特にバロンが「馬鹿な!? Dクラスのロックシードなのに!」と叫ぶのを、ヒマワリロックシードで変身した咲(ビジュアルは適当)がズババッとやっつける。
倒れたバロンたちをしり目に、カンカンカン! と鳴るゴング、拳を挙げる自分……
「うんイケる」
「どこへだ」
まるで思考を読んだかのように、左隣のナッツから裏拳が入った。
「あんた今またロクでもないこと考えたでしょ」
「ろくでもなくないよぉ」
咲はヒマワリの錠前を手に取った。オイまさかそれで変身するんじゃないだろうな、というチームメイトのまなざしは措いて。そもそも――
「――なぁんでヒマワリなんだろ」
チームメイトが全員、今度は疑問を呈して咲を見つめてきた。思っただけのつもりが口に出てしまったらしい。
「いや、その、ね。ロックシードってくだものっていうか、なんかの木の実がフツーじゃん。なのにヒマワリだけ花だし種だしで、なんかトクベツな意味でもあるのかなーって…………ごめん」
居心地が一気に悪くなってしまい、先に謝ってしまう咲だった。
「と、とに
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