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少年少女の戦極時代
第6話 ガキの本気
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 バン! 店のドアが勢いよく開いた。しかし店長の板東は珍しいことでもないので、

「いらっしゃー…」

 い、と続けるはずだったのだが、口を噤んだ。

 入ってきたのは小学生ほどの男女が6人。一直線に、錠前ディーラーの指定席に向かった。

「……ごゆっくりー」

 今はあの程度の歳の子供でさえインベスゲームをやるのかと思うと、やるせない板東だった。




 シドはティーカップをソーサーに置いて手を組んだ。

「おやおや。噂のリトルチームがお揃いで。ロックシードでもご所望かい?」

 正面の席にチームのリーダー――室井咲が座った。

「鎧武とバロンが持ってるのと同じベルトを下さい」

 言うと思った。シドは小さく笑った。

「お代は?」

 咲は空の2Lペットボトルを音を立ててテーブルに置いた。ラベルが剥がされたペットボトルの中身は1円玉から1万円札まで全種類の日本銀行券でぎっしり詰まっている。

「みんなでお年玉ちょきん全部くずして持ってきた」

 シドは危うく盛大に噴き出しかけた。お年玉と来たか。さすがは小学生。発想が幼い。幼いが。

 ざっと見た限りではそこそこの金額がありそうだ。最近の子供の小遣いは景気と反比例するように高いという噂は真実だったらしい。

 後はシドがこの少年少女、特にドライバー装着者になる気らしい室井咲を気に入るか次第だ。

「君らは確か元は非公式のチームだったんじゃなかったかい」
「そうですけど、それが?」
「手に入れたビートライダーズのイスをそこまでして守るのはどうしてだろうと思っただけだよ。何か重大な理由でもあるのかな」

 咲が後ろをふり返る。目線の先には、ストリートダンスをするとは思えない大人しげな少女――彼女の名が「ヘキサ」だとシドは知っていた。

「――ちょっと前。あたしたち、チームバロンにステージをとられそうになりました」
「デビュー戦だね。評判の」
「あたしたちは、ホンモノのビートライダーズみたいにいくつもステージを持ってない。別に持ちたいとも思わない。あたしたちが『ビートライダーズ』でいられるのは、あのステージだけでいいって思ってたから。でも、バロンに勝負をいどまれて。そんなささやかなことも、ゆるさないってヤツらがいるって分かった」

 咲は胸元で強く拳を握った。

「ゆるさないっていうなら、あたしも、ゆるしてあげない。バロンでも他のチームでも。ガキが本気になったらこわいんだって、思い知らせてやる」

 ――気に入った。

 シドはキャリーケースの抽斗を開けて、戦極ドライバーを出してテーブルに置いた。

「小さなリーダーの覚悟に免じて、足りない代金はまけておこう。ロックシードは――もう持ってるな。
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