第140話
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麻生は撮れたであろう写真を確認する。
その隣で美琴も一緒に確認する。
「美琴、顔が引きつっている。」
「あ、アンタこそ無表情じゃない!
にっこりと笑いなさいよ!」
「笑顔ね・・・」
麻生は笑う事はほとんどないので、自分から笑顔を作るのは苦手なのだ。
これも星の記憶を見せられた影響でもあるが、とにかく苦手だ。
「もう一度撮るか。」
「そ、そうね。
これはペアには見えないわ。」
もう一度パシャ、という電子音が鳴り響き、写真を確認する。
「だから、何で表情が固まっているんだ?」
「アンタこそどうしてマシな表情ができないのよ!!」
美琴は麻生の顔を睨みつけ、麻生自身は面倒くさそうな表情をしている。
このままではいつまで経っても終わらない。
最悪、『申し訳ありません。写真がないと登録はキャンセルされちゃうんですよー』とかいう展開になったら今までの時間と労力が全て無駄になる。
麻生達も困るが店員さんだっていい迷惑だろう。
麻生は大きくため息を吐く。
「分かった。
俺も出来るだけ頑張るから、お前もしゃんとしろ。」
そう言って、麻生は美琴の肩に腕を回すと自分の方に引き寄せる。
麻生の突然の行動に美琴は声をあげて驚く。
「さっさと終わらせるぞ。
もう撮り直すのも面倒だからな。
作り笑いでも何でもいいから、書類が通れば問題ないだろ。」
「え?え、まあ、そうよね。
あはは!別にそれっぽく写真を撮るだけじゃない。
そうよねそうそう写真を撮るだけ!
ようし行っくわよーっ!!」
美琴はヤケクソというより顔の赤さを悟られるのが嫌で無理矢理に気分をハイに変えている。
美琴の方に腕を回す麻生に合わせるように、自分の腕を麻生の腕に回して距離を縮めていく。
二人・・・というより美琴と他一名を眺める通行人が、『おおっ』と少し羨ましそうな目で見てくるがハイになっている美琴は気がつかず、麻生は無視している。
麻生も自分ができる限りの笑顔を浮かべて。
「撮るぞ。」
「イエス!!」
と、突然美琴に頭痛が襲った。
突然の頭痛に美琴は片手で頭を押えつつ、少しだけ頭を下げてしまう。
その後、パシャという電子音が鳴り響く。
美琴は頭を押えつつ、周りを見渡した。
数人の通行人がこちらを見ていたが、気にはしない。
その通行人に混じって、ある女子生徒の姿を見かけた。
星の入った瞳、背に伸びるほどの長い金髪、長身痩躯で、おまけに巨乳の女子生徒、食蜂操祈がリモコンを美琴に向けて、仏頂面で立っていた。
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