第4話 vs戒斗! 初めてのインベスゲーム
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密かに震え始めていた。
(だって、あたしたちがビートライダーズなのは、ただのごっこ遊びで、ヘキサの思い出作りのためで。だから町の隠れ家でひっそりやってたのに。どうして? 何でこの人はそれを壊しに来たの?)
「ガキでもビートライダーズを名乗る以上、ロックシードの一つくらい持ってるだろう」
「……持ってるわけない」
「ガキのフトコロの寒さなめんな!」
チューやんとモン太の返しに戒斗は意外とでも思ったのか。はたまた呆れたのか。
しかし戒斗は容赦なく錠前を開錠する。すると、光でフィールドが形成され、宙に縦に開いたチャックから小さな怪物、インベスが召喚された。
いよいよ咲が進退窮まった、そんな時だった。
「咲、使って!」
舞台袖から出てきたヘキサが、これまた小さな物を二つ投げた。
キャッチして見ると、それはたった今戒斗が投げた物と同じロックシードの錠前だった。
「これ、何で……え、これ、Aクラス!?」
「なにっ?」
何故ヘキサがこれを持っていたのか。普通の小学生の小遣いで買える品ではないのに。
疑問に思ったが、咲はすぐ意識を切り替えた。ヘキサに聞くのは後でもできる。今は咲の、ヘキサの思い出を穢そうとする戒斗と戦うのが先だ。
「チューやん! これオネガイ」
咲はチューやんに錠前を一つ投げ渡した。チューやんは格ゲーが仲間内で一番上手いからだ。
「いいだろう。ハンデとして2対1でやってやる。来い」
咲は錠前二つ、チューやんが錠前一つ。彼女らは同時に錠を外した。咲側のフィールドに3体のインベスが召喚される。戒斗が咲を睨みつけた。咲も負けじと睨み返した。
「みんな観てて。これがあたしたちのステージよ!」
………
……
…
それはいつもと何ら変わりない日常。
『ハロー、沢芽シティ! 今日のトップニュースは先日紹介した小さなビートライダーズ、チーム「リトルスターマイン」だ!』
それは投じられたことに誰も気づかない小さな一石。
『バロンにゲームを挑まれたリトルスターマイン。子供ばかりのチームに大人げないぜバロン! とは言わないのがお約束だ。何たってスゴイのはこのチームのリーダー。何と弱冠11歳の小学生女子! インベスを巧みに操り、あのバロンを退けたSuper Girlだぜ!』
それは「いつもの日常」に音もなく波紋を広げた、微かな変化。
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