Development
第二十四話 天照
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ている。
彼女は、目の前の試合の不自然さを感じ取ってしまった。まるで誰かに見せるように繰り広げられる攻防。
誰に? 決まっている、一夏に対してだ。何故、西園寺紫音が織斑一夏に対してそうするのかはわからなかったが、横で試合を見て成長する一夏の姿を見て、自身の一週間を悔やんでしまう。直接のIS訓練は一切せず、体力作りや剣道のみを行ってきた。
決してそれらは無駄ではないのだが、目の前の映像で繰り広げられている高度な攻防、そしてそれを見て吸収している一夏を見た箒には、先日の紫苑との一件もあり後ろ向きの思考に囚われてしまう。
となりの一夏は、幼馴染がそんなことを考えているとはつゆ知らず、ただ目の前の試合に釘付けとなっていた。
「あれが月読がファーストシフトした姿……ね」
「はぁ、それにしてもよく避けるッスねぇ」
紫苑とセシリアが戦っている中、生徒会メンバーも当然観客としてその模様を観戦していた。
「今やり合ったら俺もヤバいかもしれねぇな」
かつて紫苑と戦い、結果はどうあれ事実上彼に打ち勝っているといえるダリルも目の前の攻防を見てそう呟く。
「えぇっ!? 先輩がそんな弱気なんて珍しいッスね、なんか悪いものでも食べたッスか!?」
「あぁ? そんなこと言ってるとてめぇを喰うぞ?」
「ちょ、こんなところでケルベロスを部分展開しないで欲しいッス! 後輩のお茶目な冗談じゃないッスか!」
相変わらずの二人は、やがて試合そっちのけでどつきあいを始めてしまう。
二人のやり取りに慣れていない一般生徒たちはその様子に面食らっているのだが……。
「わぁ〜、しののん先輩天使みたいだね〜」
「えぇ、とても綺麗ね」
こちらの二人の姉妹は我関せずといった様子で観戦している。
「ふふ、やっぱり楽しませてくれるわね。それに、まだ何か隠してるのかしら?」
久しぶりに見る、ISを駆る紫苑の姿を見て楯無は微かな高揚を感じていた。
それはかつて、二人が戦ったとき。そのときの昂りが湧きあがっている。
それぞれの心中に様々な影響を与えながら、紫苑はなおも舞い続ける。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
(そろそろ、かな)
20分が経過したころ、セシリアの動きに変化が訪れる。
ビットとスターライトとの攻撃の間隔が身近くなってきたのだ。それはつまり、彼女自身が同時に動けない欠点を、今この場において克服しようと成長している過程である。
とはいえ、一朝一夕で修得できるものではなくまだまだ同時行動は難しいようだが、それでもビットとの時間差が限りなくゼロに近づいてきている。
『くっ、このまま逃げ切るおつもりですか!?』
いくら一方的に攻撃しているとはいえ、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ