Development
第二十四話 天照
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……はたまた天使か。会場中はその圧倒的な存在感に呑まれてしまっていた。
『先日、ようやくファーストシフトしました。名前も変わりましたので改めて紹介しましょう……専用機『天照』です』
その言葉に、さらに驚愕する。
ファーストシフトした……それの意味するところは、いままで初期状態で戦っていたということ。以前に紫音は、薫子によるインタビューで月読はプロトタイプ……いわゆる試験機であると伝えた。欠陥があることは知られていたし、紫音が近接武器でのみ戦っていたのがその弊害なのだろう、と誰もが思った。
しかし、実際はそれを含めファーストシフトがまだだったとは誰も……楯無でさえも思わなかった。
気付けば、セシリアは背中に冷たい汗を掻いていた。
対戦相手からのプレッシャーだけでなく、目の前に突如として突きつけられた事実によって。
サラが褒め称えた彼女の実力は、ファーストシフトすらしていない機体によって齎されたものだったという事実。いま、その枷が外れた目の前の相手がどれほどのものとなるか、彼女には想像すらできなかった。
だが……。
『なるほど、さすがに驚きましたわ。ですが……なおさら! なぜあなたは……!』
それ以上は、しかしセシリアは口に出さない。もはや、この期に及んで話すことはない。それに、彼女とて負けるつもりはない、いかに機体が進化しようとも半年のブランクは大きい。サラや紫音を目標に日々研鑚を重ねた自分が負けるはずがない、そう思った。
セシリアはプライドが高いだけの少女では決してなく、それを支えるだけの努力はしてきたのだ。しかしそのプライドこそが今の彼女の成長を妨げているのだが……皮肉なものである。
『……セシリア・オルコット、ブルー・ティアーズ。お相手させていただきます!』
セシリアは鮮やかな青色の装甲を身に纏い、その背には四枚のフィン・アーマーを従えている。
それぞれがISを展開した状態で浮遊し、対峙する……しかし、お互いその手には何も持っていない。
『ところで、よろしいのですか? そのままの状態で……』
『何を……はっ!?』
何かに気付いたセシリアはすかさず左手を肩の高さまで上げ、すぐさま真横にかざす。と、同時に試合開始の合図が鳴り響く。
瞬間、セシリアの左手が爆発的に光り、その手には彼女の専用機『ブルー・ティアーズ』の代表的な武装である長大なレーザーライフル『スターライトmkIII』が具現化する。
……その刹那、彼女に凄まじい衝撃が走りそのまま後方へと吹き飛ばされる。
『あうっ!?』
そのままアリーナの障壁へと追突したセシリア。観客も一瞬の出来事に何が起きたのかわからずにいる。
ようやくセシリアのいたはずの場所に意識を戻すと、そこで
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