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第二十四話 天照
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ていられるのですか?
なんで? あなたがいるべき場所にあなたより劣っているはずの人間がいるのですか?
どうして? あなたは……『あなた』でなくなってしまったのですか?
セシリアは現状に満足してしまっているように見える紫音に対して、自身の思い描いていた紫音という存在とかけ離れつつある目の前の紫音に対して……、
「正直、失望しましたわ」
裏切られた、そう感じてしまった。そして、言葉にしたことでそれが明確になる……目の前にいるのは自分の尊敬する紫音ではない。想いの強さは、それが好意である間はいいが反転すればそれだけ憎しみの強さにもなる。彼女の心は、ただ裏切られたという黒い感情に染まりつつあった。
「……油断をしていると足元を掬われますよ? 今の慢心しきったあなたなら、更識さんはもとより織斑君にも負けるとはいかないまでもいい勝負になるかもしれませんね」
そして、紫音に言われた一言。もとより紫音以外に興味はなく、ましてや素人である一夏との模擬戦など眼中になかった。裏切られたと思っているとはいえ、一時は憧れた人物からの挑発ともとれる言葉にセシリアも黙っていられなかった。
「くっ!? いいですわ、そこまで仰るのでしたらわたくしと模擬戦してくださいまし!」
例え、相手がかつて尊敬の対象だった紫音であれ、半年のブランクがある上に現状で満足している相手に負けるわけにはいかない。
今のセシリアには紫音に言われたことは理解できず、ただ目の前の相手への敵愾心を高めるだけだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『なんですの、その機体は……』
会場に現れた機体を見て誰もが目を疑う。
本来であれば織斑一夏VSセシリア・オルコットの試合であったはずだが、直前に西園寺紫音との一戦が挟まれることになり、それはすぐに会場に伝えられた。
事情を知らぬ大多数の者からすれば意味がわからないが、一年生にとっては学園でよく名前が挙がる少し近づきにくい相手がどれだけやるのか見てやろうという挑戦的な目を。そして二年生と三年生にとってはかつてそうそうたるメンバーと激戦を繰り広げた紫音が、半年ぶり以上にどれほどの戦いを見せてくれるのかという期待の目を向ける。
しかし現れた機体は白く輝いており、全くの別物だった。故に、そのISの操縦者が紫音であると認識するまでに時間を要した。
だが、よく見てみるとその姿はどこか月読の面影を残している。
薄く要所のみを保護した装甲に、背後に従える一対のフィン・アーマー。今までと違うのが、透き通るほど薄い羽のようなもの、それがまるでスカートのように腰回りに展開している。
かつては夢魔のような雰囲気を漂わしていたが、今は神聖なものすら感じる。巫女か
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