第五十七話〜Pray〜
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った。
ライを画面越しに眺めていたジェイルであったが、何を思ったのかフェイトの方に視線を向ける。
その彼の視線に気付いたフェイトは一瞬身構えるが、彼はそんな彼女に落胆のため息とガッカリしたような視線で答える。
これにはフェイトも流石に困惑した。
「……プロジェクトFでは彼のような良質な規格外を生み出すことはできなかった。それどころか、完全なクローン1つ作ることができない。であるのであれば、その計画もそれによって生み出されたモノも結局は失敗作であったということか」
ジェイルの言葉にフェイトは頭が真っ白になる。彼女はジェイルの言葉を一瞬認識出来なかった。だが、頭は理解していたのかフェイトの叫びの声が自然と口に付いて出た。
「一方的に生み出しておいて、それを否定するな!私たちをモノ扱いするな!!自分勝手な物言いをするな!!!」
「?」
そのフェイトの言葉が心底不思議なのか、ジェイルは眉を寄せて不可解なものを見たような表情を浮かべる。
「君は人為的な生み出されたモノである事に変わりは無いはずだが?」
「よくもそんな―――」
「それに自分勝手なのは君もだろう?自分と似た境遇の者を集め、自分だけが酷い境遇ではないと思おうとする。そして集めた者が力を持っていたのなら、自分の目的を果たすために利用する。十分身勝手だと思うがね?」
「?!違う!私は――」
「違わないさ。君がなんと言おうと、それは所詮君の主観だ。他人が見ればそれは客観的な事実だ。現に君が私を捉えようとするために、地上で君が保護したという2人の幼子が戦っている」
「っ違う!違う!違う!」
「ふむ、君はどう思うかね、ライ君?」
「!」
ジェイルの言葉に今度こそフェイトの頭は真っ白になった。
聞かれていた、知られた、晒してしまった。自分の出自を、自分の秘密を、知られたくない人に。それを意識してしまったフェイトの顔から血の気が失せる。
彼女はどこか、定まらない視線をライの映るモニターに向ける。そこには一旦様子見をしているライとヴィヴィオが写っている。
そんなライをどこか怯えた表情でフェイトは見る。
彼女は恐れていた。普通の人間とは違う生まれ方をした自分を知ったライがどんな反応をするのかが。
彼の事を信頼している。だが、だからこそ今の関係が心地よくて、それを壊してしまうのが怖かった。
しかし、フェイトは心のどこかでこうも思う。「きっと、ライは自分を受け入れて優しい言葉をかけてくれる」と。そんなことを考えてしまう自分が酷く醜く思えて彼女は泣きそうになった。
フェイトがふさぎ込みそうになったとき、とうとうライが口を開く。
『別にどうも思わない』
そのどんな風にも受け止められる言葉にフ
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