暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
蠢く闇 the road of future
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不安を掻き立てられる。

口許が、どうしようもなく震えた。

「な、何をする気だ………」

その言葉に答えたのは、女性ではなく小日向相馬だった。

「何もしないですよ。人格面はともかく、アナタの頭脳は貴重な物ですしね。このままアメリカにでも飛んで貰いましょうか」

「そんなこと────ッッ!!」

激昂しかけた須郷の声に被せるように、《鬼才》は言葉を発する。

「拒否権があるとお思いで?それとも、脳ミソだけでフライトツアーをしたいんですか?」

「……………………………………ッッッ!!!」

小日向相馬は言っている。

今すぐ殺してもいいんだぞ、と。

そうして、《鬼才》は傍らの女性に頷いた。

それに頷きを返した女性は、凛と張った声を夜の駐車場に響かせた。

「連れて行け」

途端。

バヂィッ、というささやかな音とともに須郷伸之の意識は綺麗に刈り取られた。

ガクリと力が抜けた成人男性の体を、『狛狗5』と呼ばれた黒づくめが重さなど感じていないような軽快さで抱え上げる。そしてそのまま、近くにあった黒のワゴンのスライドドアをこじ上げた。

その中に須郷を放り込むと、総勢五人の黒づくめは揃ってぞろぞろと乗り込み始めた。

と、その中の一人。

『狛狗1』と呼ばれた黒づくめに、小日向相馬に史羽と呼ばれた女性は声を掛ける。

「後始末は《野良狗(のらいぬ)》に任せ、お前達は目標をGルートで輸送後、待機している《山狗(やまいぬ)》に引き渡せ。その後、予定通りのサーバに《種》をばら撒け」

「了解」

短いその返答と同時、ドアが硬く閉じられる。

軽い排気音を残しつつ発進するワゴンを見つつ、女性は《鬼才》の方に向き直った。

小日向相馬は、ワゴンのことなど見ていなかった。いや、気にも留めてはいないだろう。

彼はただ、少し右上を見上げていた。

つられたように女性がその視線を追っていくと、彼が見ているのは入院棟の方角だということに気が付く。

「……お前に”心配をする”という感情があることに驚きだな」

そう言ってやると、《鬼才》は一瞬何を言われたのか分からない的な表情をし、次いで大いに苦笑した。その口調は、先程までの慣れていない丁寧口調ではなく、いつも通りの砕けた話し言葉だ。

「そりゃまぁ、《弟》だからな」

「感動の再開を見たいのは山々だが、生憎そんな時間はないらしい」

ん?という顔でこちらを見てくる男の顔を見つつ、女性は今無線を通じて入ってきた情報を脳内で整理しつつ告げる。

「《(わし)》と《(たか)》が動き出した。ここは退くぞ」

その二つの単語は、《鬼才》の眉丘にシワを寄せるには容易だった。

してやったり、とは手
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