暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
蠢く闇 the road of future
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いつくばっているという事そのものが信じられなかった。

「そんなことのために。僕の………研究は────」

「僕の研究とは言いますが、それこそそれは俺に言わせれば滑稽そのものなんですよねー」

「どういう……ことだ」

精一杯睨みを利かせたのだが、見上げているのでどうしても迫力が出ない。

結果的にそれは、絶望しきった弱者が圧倒的強者に弄ばれているような、玩具にされているようでしかなかった。

そんな中で、男は言う。

小日向相馬は言う。

圧倒的な強者は、言う。



「アナタの研究、『仮想世界下における人の感情誘導及び操作実験』。そんな物は、とうの昔に完成された研究なんですよ」



一瞬、何を言われたのか全く解らなかった。

否、脳がその言葉の意味を理解することを拒否したのかもしれない。

そんな自分は、一体どれほどに間の抜けた表情を浮かべていたことだろう。小日向相馬は、男の顔を面映そうに見ながら、言葉を続ける。

「もう、三年前にもなりますかねぇ。まだ第二世代機であるナーヴギアが発売されていない、第一世代さえもがまだ実験途上の中にあった頃です。俺が計画を立案し、EUのお偉方と協力してやりました。大体二ヶ月ちょいで終わりましたけどねー」

ははは、と小日向相馬は何が面白いのか笑った。

人はそれを、悪魔の笑みというのかもしれない。

「そう思ったらほら、これほど滑稽なことがありますか?アナタは、既に出尽くされた、完璧に紐解かれた方程式を一から解いて喜んでいたにすぎないんですよ」

ガツン、と後頭部をぶん殴られたような言葉。

狂い切っていた頭が、強制的に冷え切らされていく。今まで自分が信じていた世界が、強制的に歪められていく。

バサリ、と顔の真横に物体が落下した。

首を巡らせると、シャーベット状の雪の上にあったのは数十枚の紙束だった。A4コピー紙のそれらには、びっしりと文字の羅列が記されているのが一目見ただけで分かる。

常人には一欠片も解かる事のできない専門用語だけで構成されたそれは、しかし須郷伸之にとっては悪趣味な方程式のようにすらすらと簡単に解けた。

「こ………これは……」

「アナタが必死こいて探していた命題、課題、問題点。全ての答えがそこに書いてありますよ。まぁもっとも、最終目標にされていた兵器転用は難しいという結論に、俺とクライアントも至っちゃいましたがね」

結局、アナタは神にはなれないんですよ、と小日向相馬は言った。

《鬼才》は吐き捨てるように、言った。

次いで、用は終わったとばかりに己の隣にいた女性を振り向き、口を開く。

史羽(あやは)

「あぁ、分かった」

その問答に、須郷伸之は言いようのない
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