第22話「南の島」
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の暗澹たる気持ちも忘れて「うわぁ」と子供のような反応を見せる木乃香。それを端目に見やりつつ、タケルも穏やかな顔で水平線を見つめる。
「きれぇー」
自然と漏れるため息に、タケルも「ああ」と頷く。
海が岸を打つ。風が耳元に優しく揺れる。鳥の声が小さく届き、彼等の心を落ち着かせる。
「……」
「……」
沈黙がお互いにとって心地よかった。
「なぁ、タケル先輩?」
「む?」
お互いに視線は水平線の彼方へと向けつつ、言葉を交わす。
「……ウチは気にせぇへんから、せっちゃんとかアスナ、ネギ君たちと一緒にプールに行こ?」
――きっと、みんな何も言わんと遊んでくれるで?
傷の理由を聞くでもない。意味のない同情をするでもない。ただ、前向きに明るく、一緒に遊ぼうという言葉。
「……ああ」
優しすぎる彼女の言葉に、タケルはフッと頷いた。
その後、ネギとアスナの騒がしい声が聞こえ、仲直りしたことを悟った二人はさらに笑みを浮かべたのだった。
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