第22話「南の島」
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に一目散に駆けていくアスナ。それを追いかけていこうとする刹那と木乃香だったが、走りだそうとしないタケルに気付き、もどかしげに足を止めた。
「先輩も早く行かな……!」
「タケル先生!!」
「いや、行かなくても大丈夫だと思うんだが」
まるで動じていないタケルに、「「??」」首をかしげる二人。あやかとアスナは既に粒に見えるほど遠のいている。
「あの二人の関係を修復させようとしてるんじゃないか?」
「……え?」
「……雪広さんの身体能力なら、わざわざ神楽坂さんに助けを求める必要はない」
「「あ」」
刹那と木乃香が同時に声を漏らした。
「それは確かに……」
「そやね」
交互に頷く二人。幼馴染というだけあって息が合っている。
「気になるなら見に行ったほうがいいんじゃないか? 俺の言葉はあくまで推論だ。もしかしたら本当に溺れているかもしれない」
突っ立ったままのタケルの言葉に、刹那と木乃香はそわそわと体を揺さぶる。
「ん〜、そういわれると気になるやんー」
「はは、確かに……」
だが、その心配はすぐに必要なくなった。
「む?」
遠くからこちらへ向かって駆けてくる人影。ほとんど車並みの速度だ。
「……あれは?」
「アスナ?」
アスナが長いツインテールを風になびかせ、タケルはもちろん、木乃香や刹那にすら気付かない様子で顔を上げずに走り去った。
「……あ、アスナ〜〜!」
「アスナさん!!」
今度こそ心配になって駆けていく二人に、タケルは小さく息を吐き、それを見送る。
「……設置損か」
簡単に作られたビーチバレーの陣地を、一人でせっせと解体し始めるのだった。
「確かにねー、最近の男子は情けないってゆーか、かっこ悪いってゆーか元気ないところはあるよ」
「まーねー」
和泉亜子の呟きに女子達がキャイキャイと笑う。
太陽が傾き、日が暮れ始めていた。
元気の余りある女子中学生たちも今は海ではしゃぐのをやめ、テラスで椅子に座り、会話に花を咲かせている。
「……てことは付き合うなら年上ってことかにゃー」
明石裕名が独特の語尾で亜子に問いかける。
「でも先輩とか兄貴も将来何になりたいかわからんとかよー言うてたけど」
一旦言葉を区切り、飲み物に口をつける。
「……まぁ。その点ネギ君は元気あってかっこいいと思うよ」
「お、亜子もよーやくネギ君のかっこよさに気付いたかなー」
嬉しそうに反応したのは佐々木まき絵。クラスでも有名なネギ好き人間である。
「じゃあ、タケルさんは?」
チアリーダーズの三人が割って入った。
桜子たちとしてはネギよりもタケルのほうに高
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