第1章 悪魔のような聖女のような悪魔
第9話 旅は道連れ世は情け容赦してくれない
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場くんが、誘いに来るとはね。グレモリー先輩に気を使わせてしまったかな?」
「ああ。一応、旧校舎は一般生徒が立ち入りできないからね。僕が案内役を仰せつかったのさ」
「なるほどね。では、喜んでエスコートされるとしようか。だが、兵藤くんについていけば、済む話ではないかな?」
「僕もそう言ったんだけどね。部長曰く『ゴシップを避けるために必要な措置』らしい」
ゴシップを避けるためのはずが、ゴシップをつくっている。
実は、この事態をリアス・グレモリーは想定していた。
兵藤一誠に対するちょっとしたいたずらのつもりだった。
確信犯である。
彼が、なんとか弁明しようにも、雰囲気が許してくれそうにない。
彼にできることはただ、嵐が過ぎ去ることを祈りながら、待つだけであった。
普段ならば、美人と会話する木場に対して呪詛の一つでも送るところだったが。
『グレモリー先輩に頼まれた木場裕斗が、兵藤一誠と八神はやてを迎えに来た』
すでに、事実が明らかになっているにも関わらず、好奇の視線は霧散しない。
滅多にない組み合わせに興味津津なのだ。
(い、生きた心地がしねえッ…!)
「――なるほど。確かに得心がいったよ。現に、クラスメイト達は噂話に忙しいようだしね」
「オカルト研究会の部室に誘うだけだと言うのに、大げさすぎるとは思うけどね」
「まあ、ゴシップ云々を置いておいても、キミがボクを誘う構図は、とても珍しい。仕方ないさ」
「そうかもね――」
その後、しばしの間、歓談する二人。
ときおり、兵藤一誠のほうにも話題が振られるが、彼は生返事しかできなかった。
なんというか、もういっぱいいっぱいだった。
盛り上がる二人の会話。
比例して高まる教室の緊張。
それぞれが、ピークに達したそのとき――――
「――おっと、少々話し込んでしまったようだ。早く行こう。ついてきてくれ」
「ああ。キミとの会話はなかなか楽しかった。つい話し込んでしまったよ。兵藤くんには、すまないことをした」
「い、いや、いいんだ。八神さんと俺は、グレモリー先輩に頼まれた木場に迎えに来てもらった『だけ』なんだからな!!」
渦中の一人、兵藤一誠は、ようやく解放されると喜んだ。
と同時に、釘をさす発言も忘れない。
かくして、残念そうな、安心したような、ゆるんだ空気が教室を漂う。
ようやく彼は安堵することが出来たのであった。
(ハーレムを目指すなら、これくらいの注目は流せるようにならないとな。嫉妬されるのは間違いないだろうし)
なんだかんだで、平常運転な彼だった。
少々の苦難では、へこたれない姿は、まさに「漢
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