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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第6話:ハイジャック事件−6
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そして部隊長室の中に沈黙が降りる。
ステラは落ちついた表情でソファの背に身体を預けてコーヒーを飲み、
ティアナは自分の頭を抱え込むようにして床を見つめ、
ゲオルグは目を閉じ黙って何かを考え込んでいた。

そのまま5分ほどの時間が流れたのち、ふとゲオルグが目を開く。

「思うに、今回のハイジャック事件を指南した"旦那"とかいうヤツは
 はじめから成功を期してはいなかったような気がするね」

ゲオルグがそう言うと、ステラは手に持っていたカップをテーブルに置いて
ニヤッと笑う。

「ほう。 それはどういう理屈だ? 拝聴しようか」

ゲオルグの隣ではティアナも興味深げな表情を浮かべてゲオルグの言葉を待つ。
ゲオルグは2人の顔を順番に見てから口を開く。

「成功を期すのであればもっと銃の数が出そろうのを待てばよかったと思うんです。
 そうすれば狙撃拠点をあと1つか2つ用意できたでしょうから、
 降下前に狙撃手をすべて押さえることができずに、俺たちもかなりの
 損害を出して撤退に至っていた可能性が高いと思うんですよ」

「でも、そうできない理由があったとは考えられませんか?
 たとえば、銃を増やすには相当の時間がかかるとか、そもそもそんなに
 人数が用意できなかったとか・・・」

ティアナが小さく手をあげて言うと、ゲオルグは大きく頷いた。

「確かにそういう理由があったのかもしれない。
 なんにしろ、"旦那"とやらの身柄を押さえられなかった時点で事実は闇の中だ。
 ただな、狙撃拠点を1か所増やすためなら銃は数丁あればいいし、
 人数不足も金で人を雇えば済む話だ。
 ほかにもやれない理由はいろいろ考えられるだろうが、それを議論する気はない。
 どうせ事実は判らないからな。
 ただ、管理局の内部事情に詳しいヤツが俺達の出動を予測していなかったとは
 思えないんだよ。 にも関わらず警備部隊のときと同じ方法で対処しようとした。
 俺はそこに違和感があるんだ。 理屈じゃなく感覚的にな」

「だとすると、扇動者の目的はなんだったんでしょうか?
 リスクを冒して海賊グループに協力した以上、何か目的があったはずですよね」

ティアナが尋ねるとゲオルグは苦笑しながら肩をすくめる。

「そこまでは判らないさ。
 ただ、成功を期さずにこういうことをやる場合ってのは情報収集が目的って
 場合が多いとは思うけどな」

「威力偵察・・・ですか?」

ティアナが確認を取るように尋ねると、ゲオルグは笑って頷いた。

「ま、そういうことだ。
 そういう意味ではISEを使ったのはマズかったかも・・・・・っと」

途中まで言いかけたところで、ゲオルグの前に通信ウィンドウが開き
ゲオルグは驚きの表情
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