第6話:ハイジャック事件−6
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ラの発したその言葉を聞いたティアナはゲオルグの方を振り返る。
2人からの視線を受けてゲオルグは考え事をしている間は閉じていた目を開く。
「そうですね・・・」
ゲオルグは小さくそう言うとティアナの方に目を向ける。
「ティアナは魔道機械の利点と欠点をどう考える?」
「魔道機械の・・・ですか?」
思わぬことをゲオルグに問われ、ティアナは再び考え込む。
しばらくして、ティアナはゆっくりと口を開いた。
「利点は魔導師個々人の才能や技術に左右されずに一定の効力を
常に発揮できることやエネルギーの供給が容易なこと。
欠点はその開発に膨大なリソースが必要なことと、装置が大型になりがちなこと
あとは柔軟性に欠けること・・・でしょうか」
ティアナの答えを黙って聞いていたゲオルグは、最後に不満げに鼻を鳴らす。
「そうか・・・。 なら、ちょっと違う質問をしようか。
JS事件のときにお前も直接対峙したガジェット・ドローンだけどな、
あそこまで苦戦させられた最大の原因はなんだと思う?」
「えっ・・・それは、やっぱりAMFじゃないですか?
あれさえなければずっと苦労は小さかったと思いますけど」
「ふーん。 じゃあ、ティアナはガジェットと1対1の局面でも苦労したか?」
「そんなわけないですよ。 最初はともかく最後のほうは1体1体の
能力というよりはその数・・・・・あっ!」
途中まで言いかけて何かに気付いたティアナが言葉を止めると、
ゲオルグは満足げな笑みを浮かべる。
「そう。 ガジェットの強みはその圧倒的な数の力だったんだよ。
もちろん、ティアナの言ったAMFや優れた行動制御といった面もあるけどな」
ゲオルグの言葉にティアナは神妙な顔で頷く。
「そして、この強みは魔道機械一般にも当てはまることだ。
つまり、魔道機械の最大の利点はその量産性にあると俺は考えてる。
魔導師はその能力が才能に左右される性質を持っている以上、
一定以上の量産は効かない。 だが、魔道機械は違う。
一度開発してしまえば設備さえ整えばいくらでも量産が効く。
想像してみろよ。この銃を持った一般人がそこらじゅうにいたら、
AAランクのお前で対処できるか?」
「・・・難しいと思います」
「ああ。 俺だって同じさ。
しかも、仕込む魔法は弾道修正に限る必要はないんだ。
バリアやプロテクションを無効化する魔法を仕込んだ弾丸だったら?
ぞっとする想像じゃないか?」
「・・・確かに」
ティアナは少し顔を青くして頷き、ステラの方に目を向けた。
「博士の言わんとされたことは、そういうことですか?」
「そうだ」
ステラはそう短く答えた。
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