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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第6話:ハイジャック事件−6
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 ま、俺の勘違いだな」

苦笑して言うゲオルグであるが、その隣を歩くティアナは自分の背中を
冷たいものが流れ落ちるのを感じていた。

(しっかり聞かれてるし! もうこれは、しらを切りとおすしかないわね・・・)

俯き加減で歩きながら、ティアナは心の中で決意を固める。

「ところで・・・」

急にゲオルグの口調が変わり、ティアナはハッとして顔をあげる。

「ティアナは今でもあの件を追ってんのか?」

「・・・はい。 自分でも未練がましいとは思ってるんですけど」

ティアナはゲオルグの問いかけに目線を落として答える。



ゲオルグの言う"あの件"というのは、ティアナの兄であるティーダが
違法魔導師に殺害された事件のことである。

兄の夢を引き継ぐという目的で執務官を目指したティアナだが、
いざ執務官になって最初に考えたのが、"執務官になって何をするのか?"だった。
考え抜いた挙句に出した答えが"兄を殺した本当の犯人を追う"だった。

事件直後に殺害の実行犯は逮捕されている。
だがその後の聴取で背後に犯罪組織が存在し、自分はその末端にすぎないとの
供述が得られていた。

目下のところ、ティアナはその犯罪組織の特定と元締めの逮捕、
そして兄ティーダの死に至った経緯の解明のために調査を続けている。
日々こなさなければならない仕事の合間を縫ってやっていることなので
遅々として進んではいなかったが。



「そうか・・・」

少し沈んだ口調の答えに、ゲオルグはそう言ったきり考え込む。
そして、部隊長室の前まで来てゲオルグの足が止まった。

「なあ、ティアナ」

「はい」

真剣な口調で呼びかけられ、ティアナはピッと背筋を伸ばして答える。

「お前さえよければ、あの件の調査にウチの情報収集能力を使っても
 かまわないからな」

ゲオルグの言葉にティアナは驚き、目を見開く。

「いいんですか?」

「いいんだよ。 どうせ俺の命令ひとつで動かせる連中だしな」

苦笑して頭を掻きながらそこまで答えると、ゲオルグは表情をもとの
真剣なものへと戻す。

「それに、あの件のバックにあると言われている犯罪組織には
 何かキナ臭いものを感じるんだよ。
 具体的な根拠があるわけじゃないんだけどな」

「そうですか・・・」

ティアナはそう言って考え込む。

(ゲオルグさんが言ってんのは"シャドウ分隊"のことよね。
 確かに情報部の諜報部隊を経験してきた人の情報収集力は魅力ね・・・)

しばらく、腕組みして床を見つめていたティアナが顔をあげる。

「・・・お願いします」

ティアナの答えにゲオルグは微笑を浮かべて頷く。

「判った。
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