第三幕 王子の洋館その十二
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「そこが違うからね」
「だから日本でもなんだ」
「前も言ったけれど日本は酷い先生も多いから」
その日本のよくない部分です、そうした意味で日本にも善悪があるのです。
「その地位で偉いってこともね」
「ないんだ」
「そうなんだ。だから僕も名士じゃなくてね」
例え大学の教授でもです、イギリスではまさに名士として尊敬されるそのお仕事にあってもだというのです。
「普通だよ」
「普通なんだ」
「これまで通りなんだ」
「普通に先生なんだ」
「そうなんだ」
「そうだよ、そう考えてね」
動物達もだというのです。
「そうしてね」
「わかったよ、それじゃあね」
「教授じゃなくて先生だね」
「そうだね」
「そうだよ」
まさにそうだというのでした。
「これまで通りね」
「日本の先生だね」
「そうなったんだね」
「いい先生になりたいね」
ここでこうも言った先生でした。
「悪い先生じゃなくて」
「うん、先生でいるのならね」
「悪い先生でいたくないよね」
「暴力とかはね」
暴力といったものについてもでした、先生は言いました。
「そんなことは嫌いだし」
「先生僕達を殴ったりもしないしね」
「酷いことしないからね」
「力があってもそれは悪いことに使ってはいけないんだよ」
先生の信条の一つです。
「力は。例え持っていてもね」
「それはいいことの為に使うものだね」
「自分より力が弱い相手をいじめる為のものじゃないね」
「そんなことをしたら絶対に返って来るよ」
自分自身にだというのです。
「だからね」
「そうしたことはだね」
「したら駄目だよね」
「僕はそう思ってるよ」
先生は穏やかな声ですが強く言いました。
「だから僕は皆にも絶対に暴力を振るわないし酷いことも言わないんだ」
「言葉の暴力もだね」
「それも使わないんだね」
「暴力を使う人は能力がない人だよ」
こうも言う先生でした。
「自分の人格でどうにか出来ない、教える力がないからね」
「暴力を振るうんだね」
「そうするんだ」
「そう、僕も自分が立派な人間だとは思わないけれど」
その人格も教師としての資質もです。
「それでもね」
「そんなことはしないんだ」
「暴力も」
「そうだよ、それはイギリスでも日本でもね」
守ってそうしてだというのです。
「これまで通りやっていくよ」
「じゃあそのことを忘れないでね」
「頑張ってね先生」
動物達もその先生を応援します、そのうえで先生はお仕事に向かうのでした。
ドリトル先生と日本のお料理 完
2013・11・9
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