第三幕 王子の洋館その八
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「薄いオムレツの生地で包んだものがね」
「このオムライスだね」
「そうだよ、見てびっくりしたね」
「うん、こんな料理もあるなんて」
「日本だけだよ、それでね」
王子はオムライスを見つつにこにことしてお話していきます。
「食べればね」
「美味しいんだね」
「これまでのお料理と同じ位美味しいよ」
ナポリタンやハンバーグと同じだけだというのです。
「だから是非食べてね」
「これもだね」
「今からね」
「それじゃあね」
先生も王子の言葉に頷きました、そうして。
新しいスプーンを右手に持って黄色い生地に入れて御飯もその中に入れます。そのうえで食べてみますと。
その味はです、王子の言った通りでした。
先生はにこりとしてこう王子に答えました。
「王子の言う通りだよ」
「驚いたんだね」
「これもとても美味しいよ」
このオムライスもだというのです。
「凄くね」
「そうだよね、このオムライスはね」
「美味しいんだ」
そうだというのです。
「僕もよく食べているよ」
「いいね、日本人はこんなものを食べているんだ」
「値段も手頃なんだ」
「イギリスの高級レストランでもこんなものは滅多にないよ」
「どのお料理もだね」
「このオムライスにしても」
それ一つ取ってもだというのです。
「偉大なメニューだよ」
「こうして食べるだけでもね」
「いいね、いや今日はとても満足したよ」
先生はオムライスをあっという間に食べ終えました、そのうえで王子にお礼を言いました。
「有り難うね」
「いや、まだだよ」
「あっ、デザートだね」
「デザートはプリンだよ」
「プティングだね」
「そう、日本のね」
それだというのです。
「プティングとプリンはまた違うんだ」
「日本のものとイギリスのものは」
「そう、違うんだ」
「それじゃあそれも」
「食べてね」
「わかったよ、デザートもね」
「紅茶もあるから」
博士の大好物であることは外せません。
「楽しんでね」
「デザートもだね」
「プリンもね」
それもなのでした、かくして。
先生は日本のプリンも前にしました、イギリスのものよりも明るい感じの黄色でカラメルソースもイギリスのものよりも黒いです。
それを小さなスプーンで食べて言いました。
「イギリスのものより大人しい甘さだけれど」
「それでもだね」
「そう、美味しいよ」
このプリンもだというのです。
「プティングとはまた違うね」
「これがプリンなんだ」
「日本のデザートの」
「そう、プリンなんだ」
プティングでなくだというのです。
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